ここまで見てきたような使い方をする場合,端末にはどのように設定すればよいか。最後に,こうした端末の設定方法をまとめておこう。

 まずソフトバンクモバイルとNTTドコモの場合,渡航先でローミング先の事業者を切り替える設定を覚えておくと便利である(写真1)。ソフトバンクの「920SH」の場合,携帯電話の「設定」画面から「ネットワーク設定」を選び,そこでネットワークを手動で設定できるようにする。こうすると,画面にはその地域で利用できるローミング先事業者が一覧表示される(写真1左)。あとは自由に事業者を選べばよい。NTTドコモの端末も,同様の設定項目を持っている(写真1右)。

写真1●手動でローミング先の事業者を選択する
写真1●手動でローミング先の事業者を選択する
左がソフトバンクの920SH,右がドコモのN705i。いずれも香港の場合である。

必要なメールだけを選んで受信

 ソフトバンクモバイルとドコモのユーザーは,必要なメールだけを受信して読む方法も確認しておきたい。操作方法は端末によって違う(写真2)。

写真2●メールの自動受信を避けて不要なメールの全文受信をやめる
写真2●メールの自動受信を避けて不要なメールの全文受信をやめる
事業者によって方法は異なる。左はドコモのN705i,右はソフトバンクの920SH。

 写真2の左側は,NTTドコモの「N705i」でメールを「選択受信」しているところである。この機種の場合,メール選択受信という機能を有効にすると,メニューにある「選択受信」項目から専用のWebページにアクセスできる。このWebページには,届いているメールの一覧と,受信/削除/保留を選ぶメニューが表示される。必要なメールだけ「受信」に設定して,受信操作をすればよい。写真2右はソフトバンクモバイルの920SHでメールを「手動受信」に設定したケースだ。メールの先頭部分だけが先行受信されるが,ここまでは無料。全文を読みたいメールだけ,その先を受信できる。

 KDDIの場合,グローバルパスポート CDMAはミニマム・チャージがないため,自動受信のままでよい。ただ無駄な通信を省くために,件名と差出人だけを受信するように設定しておき,読みたいメールだけをダウンロードする方が良いだろう。一方,GSM方式は1回の通信ごとにミニマム・チャージが発生するため手動受信に設定し,「全受信」や「指定全受信」で使うと良い。

必須の設定を忘れず実施

 通信コストにかかわるわけではないが,利用に際してはほかにも端末設定の追加・変更が必要になることがある。中には渡航先ではなく国内で実施しておくべきものもあるので,注意が必要だ。

写真3●KDDIのグローバルパスポートCDMAは端末へのエリア設定が必須
写真3●KDDIのグローバルパスポートCDMAは端末へのエリア設定が必須
画面はA5514SAの場合。

 KDDIのグローバルパスポートCDMAを利用する場合,利用前に必ず端末に「PRLファイル」をダウンロードしておかなければならない。ローミング先事業者の情報を記録したファイルで,年に数回更新される。古いファイルのまま出発すると最悪ローミング・サービスを使えない可能性がある。もちろん接続できなければPRLファイルも取得しようがないので,日本にいるうちにダウンロードしておく必要がある。

 もう一つ,渡航先に到着して使い始める前には,ローミング・エリアを渡航先に切り替えることも必要である(写真3)。これもグローバルパスポート CDMAに独特の設定項目である。


SIMカードは盗難に遭うと高額請求の危険

 携帯電話を海外に持参してローミング・サービスを使う際には,端末を不正利用されないようにするセキュリティ面の配慮も大切である。ネットマークスの大倉部長は,「基本的なことだが紛失しないことが重要。端末にあまり多くの情報を入力するのも考えもの。万が一紛失すると大事になる」と話す。

 KDDIの泉担当部長は「SIMカードの重要性を認識してほしい」と訴える。海外では,端末からSIMカードを抜き出し他の端末に差し替えて悪用されるケースがある。身に覚えのない高額請求が届きかねない。対策は「SIMカードにPINコード(暗証番号)を設定すること」(ソフトバンクモバイルの塚田担当課長)である。