写真1●ヤマハ発動機 プロセス・IT部の鈴木満義ITグローバル戦略グループリーダー
写真1●ヤマハ発動機 プロセス・IT部の鈴木満義ITグローバル戦略グループリーダー
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写真2●ヤマハ発動機 プロセス・IT部の原田丈也ITマネジメント戦略グループリーダー
写真2●ヤマハ発動機 プロセス・IT部の原田丈也ITマネジメント戦略グループリーダー
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 ヤマハ発動機は、英語ができるJava技術者をインドで採用し始めた。現在、グループのシステム子会社であるヤマハモーターソリューションインディア(YMSLI)で、110人の技術者を確保している。

 目的は、グローバル標準システムの新規開発だ。ヤマハ発動機は2008年から、国内外の拠点における生産、販売、物流、保守サービスなど一連の業務を担うグローバル標準システムの新規開発を本格化する。プロセス・IT部の鈴木満義ITグローバル戦略グループリーダー(写真1)は、「新システムは世界で使うことを前提に仕様書は英語で書く」と説明する。

 インド人技術者の活用方法としては、インド・ベンダーを使うのが手っ取り早い。自前で拠点を設け、技術者を採用するのは手間がかかる。にもかかわらず、ヤマハ発動機は、どうしてYMSLIを設置しているのか。

システムは競争力の源泉

 それは、ヤマハ発動機が「自前主義」というシステム開発のコンセプトを貫いているからだ。プロセス・IT部の原田丈也ITマネジメント戦略グループリーダー(写真2)は、「生産や販売など自社の強みにかかわるシステムは自分たちで作る」と話す。その方針に従い、グローバル標準システムは市販のERP(統合基幹業務システム)パッケージを使わずJavaで自ら開発する。

 となると、英語ができるJava技術者が大量に必要だ。静岡・磐田の本社周辺にある地場の開発ベンダー20~30社とシステム子会社のヤマハモーターソリューション(YMSL)、YMSLの中国子会社ヤマハモーターソリューションアモイ(YMSLX)という、これまでの開発体制だけでは不十分だ。そこで目を付けたのがインドである。

 鈴木グループリーダーは、「インド人技術者をグローバル版の開発と欧米への展開の原動力にしたい」と期待を寄せる。ヤマハ発動機は、グループ内に確保したインドと中国の技術者を武器に、グローバル標準システムの自前開発を進める。

※肩書きは取材時のものを採用していて現在と異なる場合がある