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2008年は「Webブラウザ大乱」の予感2008年はWebブラウザにとって,大きな節目の年になるだろう。「Internet Explorer」と「Firefox」というWindows界の2大ブラウザにメジャー・バージョンアップが迫っているだけでなく,Mac界の雄「Safari」がついにWindowsに正式対応したからだ。ユーザーにとっては望ましい競争激化だが,Web開発者にとっては新たな悩みの種になるかもしれない。 記者がWebブラウザを取り巻く状況を「大乱」と表現するのは,ここ数年見なかったような「複数製品/複数バージョンの混在」が予想されるからだ。 もちろん,表向きの製品シェアだけ見れば,Webブラウザ市場はInternet Explorerの寡占状態にある。米Net Applicationsが3月に発表した2008年2月のブラウザ・マーケットシェア調査によれば,全世界のマーケットシェアはInternet Explorerが74.88%,Firefoxが17.27%,Safariが5.70%,Operaが0.69%,Netscapeが0.68%,Mozillaが0.59%であるという。 2年前の2006年2月は,IEのシェアが85.00%でFirefoxが9.75%,Safariが3.13%に過ぎなかった。そう考えるとFirefoxの躍進はめざましいが,それでもIEの「全体の4分の3」というシェアは,いまだ「寡占」と呼ぶに相応しい水準である。 FirefoxとIE7は「互角の戦い」しかし,「IEによる寡占」の内情は,お寒い限りである。調査対象は異なるが,弊誌「ITpro」の閲覧ブラウザ・シェア(3月9日〜15日の1週間で調査)を見ると,Internet Explorer 6のシェアが53.94%,Internet Explorer 7のシェアが20.20%という結果が出た。この2つを足すと約74%であり「世界平均」とほぼ一致するが,日本でも2月からIE7の自動更新が始まったにも関わらず,依然としてIE6のシェアが高いままなのである。 Firefoxに目を転じると,最新バージョンの「Firefox 2.0.0.1.2」のシェアは17.18%に達している。Firefox全バージョンの合計シェアは18.96%であり,Firefox全体(18.96%)とIE7(20.20%)を比べると,シェア争いは「互角」といっていい状況である。 (注)IEと異なり,Firefoxのマイナー・バージョンアップには「セキュリティ更新」が含まれている。最新バージョンではないFirefoxを使っているユーザーは,今すぐバージョンアップしてほしい。 日本の場合,現時点で「シェア50%のIE6」と「シェア20%のIE7」「シェア20%のFirefox2」という「3強」がしのぎを削っているわけだ。2008年はさらに「IE8」「Firefox3」「Safari」という新顔が,殴り込みをかけようとしている。 IE8もFirefox3も,それぞれ優れたバージョンアップではあるが,すぐには前バージョンを駆逐できないだろう(理由は後述する)。結局,IE6,IE7,IE8,Firefox2,Firefox3,Safariという「6大ブラウザ」が混在する,Web開発者にとって悪夢のような状況が発生するのではないかと感じている。 魅力的なバージョンアップだが互換性は?記者自身は,IE8にもFirefox3にもSafariにも,かなり期待している。 IE8に関しては,3月上旬に開催された「MIX08」でMicrosoftによるデモを見たが(関連記事:【詳報】セマンティックWebに向かうIE8の「8つの強化点」),Webページを遷移せずに地図検索などが実行できる「Activities」や,セマンティックWebの大きな一歩になりそうな「Webslices」には,正直言って驚いた。 例えばIE8で「Live Maps」のActivitiesを利用すると,ホテルのWebサイトでそのホテルの場所をすぐに参照できる(図1)。オークション・サイト「eBay」のWebslicesを使うと,自分が気になっているオークション商品をIE8に登録して(図2),どのWebページを見ているときでも商品の現在価格を参照できるようになる(図3)。いずれもWebブラウザの可能性を広げる,大きな機能強化である。 しかしその一方で,IE8におけるレンダリング・エンジンの大変更は,かなりの後方互換性問題(IE6/7用に作られたWebアプリケーションが正常に動作しなかったり,表示が乱れたりする問題)を引き起こすため,大きな波紋を呼びそうだ。例えば図4は,IE8で「Google Maps」を閲覧した画面だ。Google MapsはIE8では正常に使えない。「Emulate IE7」ボタンを押してからIE8を再起動し,IE8を「IE7互換モード」に切り替えると,Google Mapsが正常に利用できるようになるが,ユーザーやWeb開発者に大きな混乱を与えることになるだろう。 話をFirefoxに移そう。実は記者自身も,IE7の動作の重さに嫌気が差してFirefox2に乗り換えた一人である。次期バージョンのFirefox3では,Firefox2の最大の弱点であるメモリー使用量の多さが改善されると聞き,大きな期待を寄せている。 しかし,Firefox3へのバージョンアップは,過去のバージョンアップよりも緩やかなペースになるだろう。Firefoxのユーザーは「2」がリリースされたころに比べて大幅に増えている。また,Firefox「拡張機能(エクステンション)」の種類やユーザーは年々増える一方だ。ユーザーとしては「お気に入りの拡張機能が対応するまで,Firefox3へのアップグレードは見送る」と思うはずであり,拡張機能の対応状況次第では,バージョンアップにブレーキがかかる危険性がある。 Safariに関しては,まだWindows版がリリースされたばかりだが,その軽快さには驚いた。「Opera」のことを思うと,軽快なだけではシェアは増えない気もするが,Mac OS Xのシェアがじわじわ上がっていることや,iPhoneの“先進的”なイメージがもたらすハロー効果を考えると,WindowsでもSafariが健闘するのではないかと思っている。 第×次ブラウザ戦争は何をもたらす?魅力的な新バージョンが登場したり,新規参入があったりすることは,ユーザー(消費者)にとっては良いことだろう。しかし,「Internet Explorer 6の寡占」に慣れたWeb開発者にとっては,苦難の時代が到来するかもしれない。間近に迫る「次期ブラウザ戦争」の動向を,用心深く観察する必要があるだろう。 連載新着記事一覧へ >>
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