写真1●オムロンの樋口英雄 執行役員常務事業プロセス革新本部長 [画像のクリックで拡大表示] |
例えば、大阪のデータセンターで稼働するシステムの運用は、中国・深センから遠隔操作している。日本で使うシステムの開発と保守は、上海の拠点に任せている。一方、欧州拠点のシステムは南アフリカのヨハネスブルグから運用している。いずれも、IBMとのアウトソーシング契約に基づき、同社のグローバル・デリバリセンターを活用している。
日本IBMの反対を押し切って実現
写真2●中国・深センのIBMグローバル・デリバリセンターにおける運用業務の様子 [画像のクリックで拡大表示] |
オムロンが大阪にあるサーバーの運用を深センに委託し始めたのは、この1月からだ。半年間の準備期間を経て、本格稼働にこぎつけた。オムロンは運用のほか、技術サポートにも深センのデリバリセンターのリソースを活用している。
一方、上海にあるIBMのデリバリセンターには、日本国内で使うシステムの保守要員として50人を確保している。オムロンのシステム子会社、オムロンネットワークアプリケーションズ(ONA)の高田充康社長は、「90年代から日本IBMに委託していた100人分の保守業務を段階的に移管し、すでに5割強を中国に任せている」と説明する。
オムロンの樋口常務は「初めて開発現場を視察した、その場で発注を決めた」と振り返る。2005年10月のことだ。日本IBMの担当者は「それは無理だ」と抵抗した。しかし、樋口常務は「製造業では開発や生産を中国に移してきた歴史がある。IT部門が中国のリソースを使えないはずはない」と押し切った。