Gpg4winは,公開鍵暗号を使って電子メールやファイルを暗号化するソフト「GnuPG(GNU Privacy Guard)」のWindows版と,GnuPGをWindows上で利用するときに便利なユーティリティを1パッケージにまとめたソフトウエアです。フリーの公開鍵暗号ソフトとしてはPhilip R. Zimmermann氏が開発,公開した「PGP(Pretty Good Privacy)」が有名です。GnuPGは,PGPをベースとした標準仕様「OpenPGP(RFC2440)」を実装したソフトウエアです。一部が特許で保護されているPGPと異なり,GnuPGはフリーのアルゴリズムだけを使用しており,個人利用,商業利用の区別なく無償で利用できます。

 GnuPG本体はコマンドラインのツールですが,Gpg4winには,GUIでGnuPGを操作するフロントエンド・ソフトとして「GPA(Gnu Privacy Assistant)」と「WinPT(Windows Privacy Tray)」が付属します。どちらを使ってもGnuPGの主要な機能をGUIで操作できます。このほか,エクスプローラのコンテキスト・メニューからファイルの暗号処理/電子署名ができる「GPGee」,Outlook 2003用の暗号メール・プラグイン「GPGol」,電子メール・ソフト「Sylpheed-Claws」などが付属します。

 Gpg4winをインストールした後,GPAまたはWinPTを起動すると,鍵ペア(秘密鍵と公開鍵の組)を生成するかどうかを尋ねてきます。ここで鍵に関連付けるための名前,メール・アドレスを入力し,さらに秘密鍵にアクセスするためのパス・フレーズ(パスワード)を入力すると自分自身の鍵ペアの生成が始まります。鍵ペアの生成が終われば,暗号を使う準備が整っています。

 ファイルの暗号化や電子署名は,エクスプローラのコンテキスト・メニューから呼び出せるGPGeeを使うと簡単です(GPAやWinPTでも可能です)。ファイルのアイコンを右クリックして,コンテキスト・メニューの[GPGee]から[Encrypt(PK)]を選べば,任意の公開鍵で暗号化できます。同じく[Sign & Encrypt]を選べば,暗号化したうえで電子署名を付けることができます。

 Gpg4win単体で対応している暗号メール・ソフトはOutlook 2003(付属のGPGolを使用)とSylpheed-Clawsの二つだけですが,Outlook ExpressやMozilla Thunderbirdなど,GnuPG用の拡張モジュールが作られているメール・ソフトはたくさんあります。普段使っているメール・ソフト用の拡張モジュールがあるかどうかを調べてみるとよいでしょう。

図1●Gpg4winに付属する「GPGee」。GnuPGの暗号化/復号化機能をエクスプローラのコンテキスト・メニューから呼び出せるようになる
図1●Gpg4winに付属する「GPGee」。GnuPGの暗号化/復号化機能をエクスプローラのコンテキスト・メニューから呼び出せるようになる
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Gpg4win
ジャンル:暗号化ソフト
開発:オープンソース
URL:http://www.gpg4win.org/