今回のテーマは相手に「伝わる話し方」です。自分の意見や考えを伝える際に,どのような話し方をするのかで,相手への伝わり方は変わってきます。今回は,相手に「伝わる話し方」のために,日常的に意識するとよいポイントについて紹介しましょう。

日常的なコミュニケーションで「伝わる話し方」を意識する

 筆者は,年間にかなりの数のプレゼンテーション研修を担当しています。プレゼンテーションの研修では最終日に,1人ずつ参加者の前で実際にプレゼンテーションを実施してもらいます。ほとんどの発表者は,講義で学んだポイントつまり「伝えるための話し方」を意識しながら,プレゼンテーションを実施します。ところが,発表以外の場面(ディスカッションや他の参加者へのフィードバックなど)では,「伝えるための話し方」を意識している人がとても少ないのです。特に「話すのが苦手」というエンジニアは,例外なく「伝えるための話し方」を意識できていません。

 効果的なプレゼンテーションのためのテクニックはたくさんあります。しかし,日常的に使っていないテクニックを,顧客や大人数の聞き手へのプレゼンテーションの場で実践するのは,たとえかなりの経験や場数を踏んでいる人であっても,なかなか難しいものです。私も昔,お客様の前で緊張のあまり頭が真っ白になり,ほとんど何もできなかった経験があります。

 逆に,日頃から実践できていることは,ある程度普段と異なる状況になっても,大きく破綻することはありません。

 つまり,日常的なコミュニケーションから「伝わる話し方」を意識することが,「伝わる話し方」を身に付ける一番の近道であり,プレゼンテーション・スキルの向上にもつながるのです。