Winnyと並ぶ代表的なP2Pファイル共有ソフトとして認知度が高まりつつあるのがShareである。Winny同様,暴露ウイルスが大量に流通しており,情報漏えいが起こりやすい点もWinnyと同じ。どうしても必要でない限り,会社からは締め出したいものだ。

自分からファイルを周囲にばら撒く

 Shareは,クライアント・ソフトの見かけや使い勝手,目的のファイルを検索したりダウンロードする際の基本的なしくみなどはWinnyととてもよく似ている。ただし,情報漏えいが起こる際のしくみは,ShareとWinnyとではいくつか違いがある。

 最大の違いは,Shareは「ファイルの拡散アップロード」というしくみを備えているという点だ(図5-1)。Winnyでは,暴露ウイルスなどによってファイルが公開されても,最初はファイルを見つけるためのキーだけを先行して周囲に拡散するしくみになっている(「個別対策1-Winny:漏えいファイルがすぐに発覚する「キーの拡散」を押さえよ」を参照)。

図5-1●Shareによる情報漏えいの流れ
図5-1●Shareによる情報漏えいの流れ
基本的な通信のしくみはWinnyと似ているが,ファイルの拡散アップロードを行うことや,中継転送を行わないなどの違いがある。Winny同様に暴露ウイルスが多数流通しており,情報漏えいの危険が高い。ただし,ポート開放が必須なので止めるのは簡単だ。
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 このため,運良くキーに含まれるファイル名が検索にヒットしなければ,ファイルが誰からもダウンロードされずWinnyネットワークには一切流れない可能性がある。つまり,漏えいが始まったことに比較的早く気付いてファイルを削除できれば,実際の漏えいをギリギリで回避できる余地がわずかながら残されているわけだ。

 ところがShareの場合,ファイルを公開した直後から,いきなりファイルそのものを細かい断片にして周囲のノードに配ってしまう。公開後すぐにユーザーの手元を離れてファイルが一人歩きしてしまうので,漏えい直後に止められる時間的猶予がほぼないという点ではWinnyよりも注意が必要だ。

 このように,Winnyに劣らず情報漏えいが怖いShareだが,幸いなことに止めるための対策はWinnyよりもずっと簡単だったりする。Shareを利用するためにはポート開放が必須であり,Port0通信には対応していないからだ。ルーターでポートを閉じ,UPnP機能を使わないように設定するだけで確実に止められる