写真1●マルチプロトコル型SANスイッチ「Brocade DCX」
写真1●マルチプロトコル型SANスイッチ「Brocade DCX」
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写真2●ITpro EXPO 2008展示会のブロケード コミュニケーションズ システムズのブース
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 エンタープライズ部門でAWARDを受賞したブロケード コミュニケーションズ システムズの「Brocade DCXバックボーン」は,マルチプロトコル型SAN(Storage Area Network)スイッチのハイエンド機種である。バックボーン・スイッチとして,FibreChannel(FC)接続型SANの中核を成す。データセンターにおけるネットワーキング基盤のコンセプトとして同社が提唱する「Data Center Fabric」(DCF)の中核となる製品だ。米Brocade Communications Systemsが開発し,国内では2008年1月22日に出荷を開始した。

 Brocade DCXは,ダイレクタと呼ばれるシャーシ型の大規模スイッチである。搭載可能なポートの数は,8Gビット/秒のFCポートをシャーシ1台に最大384個(シャーシ2台で構成するシングル・システムで最大768個)。12/32/48ポートを搭載するブレードを,1台のシャーシに最大8枚搭載できる。さらに,FCポートとは独立して,シャーシ間接続ポートをシングル・システムで最大64ポート(64本のトランク接続分)搭載する。性能は,同社の既存製品と比べて総帯域で5倍となっている。

 8Gビット/秒のFCポートは,既存製品である転送速度4Gビット/秒のポートの2倍の転送速度に相当する。こうした高速I/Oポートは,サーバー仮想化時代に特に需要が高まっているという。なぜなら,1台の物理サーバーを複数の仮想サーバーとして動作させる際に,複数の仮想サーバーが単一のI/Oハードウエアを共用するからである。これまで同社はWDM(波長分割多重)など特別な需要のために10Gビット/秒のFC製品を用意していたが,データセンター向け製品の転送速度はこれまで4Gビット/秒が最高だった。

 Brocade DCXで利用可能な通信プロトコルは,(1)SANの基本プロトコルであるFC(FibreChannel),(2)IBMのメインフレーム接続用であるFICON,(3)災害対策などのためTCP/IP網で接続した遠隔地にFCを伝えるFCIP(FC over IP),(4)SCSIコマンドによるブロックI/O型のストレージ・アクセスをTCP/IP上で実現するiSCSI,などである。さらに,今後普及すると見られている次世代のプロトコルとして,(5)DCE(Data Center Ethernet)や(6)FCoE(FC over Ethernet)なども利用できるようになるとしている。

 なお,FCoEとは,FCプロトコル(物理層とデータリンク層,さらに上位のSCSIコマンドとのインタフェースなどを規定している)を,汎用のネットワーク接続などに使われるイーサネット・プロトコルの上で利用するための規格である。米Brocade Communications Systemsを含む業界各社が2007年4月5日に,ANSI(米国規格協会)のFC統括部門であるT11委員会に提出した。現在,データセンター業界においてホットなトピックとなっている。FCoEは,既存のイーサネット製品の上位互換に相当するため,既存製品でそのままFCoEを使うことはできない。