写真1●デスクトップ型のHP Compaq t5730 Thin Client(右)とノート型の同 6720t Mobile Thin Client
写真1●デスクトップ型のHP Compaq t5730 Thin Client(右)とノート型の同 6720t Mobile Thin Client
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写真2●ITpro EXPO 2008で来場者を集める日本HPのブース
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 ITpro EXPO 2008の開催前日に当たる1月29日,日本ヒューレット・パッカード(HP)はシンクライアントのラインナップを大幅に拡充し,4つの新製品を一気に発表した。このうちエンタープライズ部門でITpro EXPO AWARDを受賞したのが,デスクトップ型の「HP Compaq t5730 Thin Client」と,ノート型の「HP Compaq 6720t Mobile Thin Client」である。

 t5730は,同社がシンクライアント製品の“フラグシップ”に位置づけるデスクトップ型モデル。従来製品であるt5720の後継モデルに当たる。

 CPUとして1.0GHzのAMD Sempron 2100+,グラフィックスとしてATI Radeon X1250(チップセットに内蔵)を搭載し,メモリーは512MB。OSはWindows XP Embedded SP2で,これを1GBのフラッシュ・メモリーに内蔵する。

 最大の強化ポイントは,多機能性を重視して処理能力を大幅に向上させたことだ。「単純比較はできないが,従来モデルのt5720(CPUは1.0GHzのAMD Geode NX 1500,グラフィックスはSiS741GX Integrated/UMA)と比べて,処理性能を約1.6倍に高めた」(パーソナルシステムズ事業統括デスクトップビジネス本部の舟木覚クライアントソリューション担当マネジャー)。ここでいう多機能性とは,主に画像表示や動画再生をはじめとするマルチメディア機能を指す。

 これにより「通常のシンクライアント端末としてだけでなく,スタンドアロン端末として,IEやWindows Media Player,Flash Player,QuicKTimeなどで様々なタイプのコンテンツを動かす用途でも,快適に使えるようにした。そのために“Windows Vistaが動くこと”を仕様設計の目標にした」(舟木氏)という。

 t5730は映像出力端子を2つ備えるので,標準でデュアル・ディスプレイ構成(2画面対応)も可能だ。「シンクライアントに対するニーズが多いコールセンターなどでは,(顧客情報やコンタクト履歴など)様々な情報を一度に画面に表示したいことがある。そのようなケースではデュアル・ディスプレイ構成が威力を発揮する」(舟木氏)。

 ネットワークに関しては,10BASE-T/100BASE-TX準拠のイーサネット・コントローラに加え,1000BASE-T準拠のギガビット・イーサネット・コントローラを備える。BTO(Build to Order)方式の注文では,無線LAN内蔵モデルにすることも可能だ。

 t5730の本体の重さは,スタンド付きで約1.6kg(HPシンクライアントPCI拡張キット使用時で約2.2kg)。価格は6万900円(税込み)である。

“省スペース”の需要にこたえ,日本市場でもノート型を投入

 一方,6720tは同社にとって国内初のノート型シンクライアント。「日本市場では特に省スペース性に対する要望が強く,その需要にこたえた製品」(舟木氏)である。

 特徴は大きく2つある。1つは,モバイル・ユーザーの使い勝手を考慮した可搬性だ。10BASE-T/100BASE-TX準拠のイーサネット・コントローラのほか,IEEE802.11a/b/gに準拠した無線LANのインタフェースを標準で搭載。さらにPCカード・スロットを備えているので,各種通信カードによるネットワーク接続も可能である。

 もう1つの特徴は,オプションの専用ドッキングステーションによる拡張性である。ドッキングステーションは,外部ディスプレイのポート,4つのUSBポート,ネットワーク・ポートなど,様々なインタフェースを持つ。これにより,外出先ではモバイル端末として利用し,オフィスではドッキングステーションに接続してデスクトップ端末として利用する,といった使い分けが容易にできる。ドッキングステーションに接続したディスプレイと6720t内蔵のディスプレイを組み合わせて,デュアル・ディスプレイ構成にすることも可能だ。

 6720tは15.4インチのワイドTFTカラーWXGA液晶ディスプレイを備え,本体の重さは約2.6kg。CPUはCeleron M プロセッサ超低電圧版423,OSはWindows XP Embedded。価格は10万4790円(税込み)である。

 日本HPは,t5730と6720tを含むシンクライアント製品の管理性を高めるために,オンラインでのソフトウエア更新や,OSのカスタム・イメージ配布などを支援する各種ツールを標準で提供している。Altiris Deployment SolutionやHP Client Configuration Manager (HP CCM),HP ThinStateなどだ。

 t5730と6720tのほかに,日本HPが1月29日に発表したシンクライアントは,デスクトップ型のエントリ・モデル「HP Compaq t5135 Thin Client」と,ワークステーション・ブレード専用のクライアントとして使う「HP dc73 Blade Workstation」の2製品。同社は今回投入したラインナップに加え,「今後も日本市場の需要に合わせて,シンクライアントの品ぞろえを充実させていく。例えばノート型については,より省スペース性を追求したB5サイズの製品化も検討中」(舟木氏)としている。