ITpro EXPO AWARD 2008で大賞を受賞したのが,サイボウズのグループウエア「ガルーン2 次期バージョン」だ。1万人程度からの同時アクセスに耐えるようスケーラビリティを高めたほか,オプションとして複数の機能をまたがっての検索機能を用意するといった機能強化に加え,前者の強化点をわかりやすくデモンストレーションした点が評価された結果である。2008年春に発売する予定である。

 ガルーン2は,大規模向けのグループウエア。企業内ポータル,スケジュール,掲示板,社内メール,メール(Webメール),ファイル管理,アドレス帳,RSSなどの機能(グループウエア内のアプリケーション)を備える。トップページに,スケジュールや社内メール,掲示板などの新着をまとめた“最新情報”欄を用意することで,各ユーザーがチェックすべき内容をひと目で確認できるように工夫している。

写真1●ITpro EXPOでデモ展示されたガルーン2   写真2●ガルーン2の画面'
写真1●ITpro EXPOでデモ展示されたガルーン2
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  写真2●現行のガルーン2の画面
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DBサーバーを分割し,スケーラビリティをアップ

 この春登場するガルーン2 次期バージョンでは,(1)スケーラビリティの向上,(2)オプションとして複数機能をまたがって検索できる検索機能の追加,(3)管理機能の拡充,などの点を強化する。

写真3●ITpro EXPO 2008では,擬似的に1万人を超える同時アクセスを発生させ,それでも問題なく動作しているところを見せた。
写真3●ITpro EXPO 2008では,擬似的に1万人を超える同時アクセスを発生させ,それでも問題なく動作しているところを見せた。
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 (1)スケーラビリティの向上では,現行バージョンでは約3000名だった同時アクセス数を約1万人にまで高める。ガルーン2ではこれまで,Webサーバーは複数台用意できるがグループウエアの各種データを格納しているデータベースは1台でしか運用できなかったことがネックだった。

 ガルーン2がこのようなアーキテクチャを採用したのは,前版である「ガルーン」が,ワークグループ単位にサーバーを分散配置するアーキテクチャを採用したことで,ユーザー数を無制限に拡張できるスケーラビリティは確保できた半面,サーバー台数が増えると管理が大変になるという課題があったからだ。ガルーン2では,管理のしやすさを優先し,データベースを1台にして集中管理できるようにしたのである。ただし,スケーラビリティ面がやや犠牲となり,同時アクセスで3000人程度が上限となっていた。

 そこで,次期バージョンでは,データベースを機能単位に分割して設置できるようにした。特に負荷の高い,ユーザーごとの“最新情報”を表示する機能については,ユーザーごとにデータベースを分けて配置できるようにした。このほか,参照中心の更新の少ない情報を効率的に表示するためにキャッシュ機能を搭載することで,スケーラビリティを同時アクセスで1万人程度にまで高めた。

 ITpro EXPO 2008では,7台のデータベース・サーバーと13台のWebサーバーを用意し,擬似的に発生させた1万人を超えた同時アクセスでも問題なく動作するところをデモンストレーションした。

添付ファイルを含めた横断検索が可能に

全文検索の画面(製品では変更になる場合があります)
写真4●複数機能をまたがっての検索の画面(製品では変更になる場合があります)
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 ガルーン2 次期バージョンの2つ目の強化点が,(2)のオプションで提供する複数機能をまたがって検索できる検索機能である。これまでも標準機能として各機能ごとのキーワードによる検索機能を用意していたが,グループウエアの活用度合いが高まるにつれて,横断的な検索機能が求められるようになってきたからだという。

 用意したのは,複数の機能を一括して検索する機能。検索対象となるのは,社内メールや掲示板,メール(Webメール),ファイル管理の各機能で,添付ファイルも含めた検索が可能だ。検索結果は,ユーザーのアクセス権限に基づいて表示されるので,アクセス権限のない情報が表示されることはない。ITpro Expoでは,同社が予想したよりも反響があった機能という。

 (3)の管理機能では,組織単位に管理権限を委譲する機能を用意する。これにより,たとえば複数の店舗/拠点を展開しているような場合に,店舗/拠点ごとに採用したアルバイトに対して,店舗/拠点側でアカウントを追加するといったことが可能になる。

 ガルーン2 次期バージョンの発売は,今春の予定。価格はこれまで通り,初年度50ユーザー当たり60万円から。なお,オプションで提供する全文検索機能についての価格は,未定である。