J.フロントリテイリングの阪下正敏 業務本部システム推進部長 |
2007年9月に大丸と松坂屋が経営統合し、持株会社として発足したJ.フロントリテイリング。システムを統括するのが、阪下正敏業務本部システム推進部長だ。目下取り組んでいるのは、2008年3月から始まる両社のシステム統合である。3月にグループウエアなどを共通化し、9月に残りのシステムを統合する。
今回の統合にかかわる人数は業務側で分科会に参加しているメンバーも含めると約200人になる大プロジェクトだ。基本的には、松坂屋のシステムを大丸のシステムに片寄せする。「是が非でも安全にシステムを統合させることを常に考えている。統合後に追加できるものであるならばなるべく後回しして山を小さくしようと話している」と阪下部長は話す。
システム統合の狙いは、松坂屋の収益(2006年度の営業利益率2.2%)を大丸並(同4.4%)に高めることである。大丸が1998年から取り組んできた営業改革で築いた業務プロセスを実行するには、基盤になるシステムの共通化が欠かせない。松坂屋のシステムを統合することで、大丸と同様の業務プロセスを構築する考えだ。
情報システム子会社のJFR情報センターの社長も兼ねる阪下部長には、統合後にさっそく取り組みたいことがあるという。システム部門の在り方を見直すことだ。POS(販売時点情報管理)や会計システムの担当など、大丸と松坂屋のシステム担当者が重複しているからだ。「単純に考えれば、人数は半分にできる」(阪下部長)。重複している担当者をほかの強化すべき領域へ振り向けることでIT(情報技術)活用を強化し、売り上げ増加に貢献したい考えだ。
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