「0.1mmは譲れない」と宣言する松下電器の中村社長

 「次世代DVD統一へ」。2005年4月21日,日本経済新聞は一面トップで大々的にこう報じた。「DVDの次世代規格を巡って対立していたソニーと東芝は、互いに主張する自社陣営の方式を新たに共同開発する『第三規格』に統一する交渉に入った」(同記事)。交渉は長引いた。争点は,方式ごとに異なるディスクの構造で,どちらの陣営が譲るかだった。5月10日,日本経済新聞は「ディスクはソニー方式」になると報道。ところがこれに対して東芝は,「0.1mm(=ソニーなどBlu-ray Disc陣営が提案する方式)を統一案とする事実はなく」と反論する。5月16日には,HD DVDの普及推進団体の総会で,東芝 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏が「0.1mm方式を進めている陣営が0.6mm方式(=東芝などHD-DVD陣営が提案する方式)を公正に評価することが統一の早道」と発言し,譲らない姿勢を鮮明にした。結局,両者の交渉は決裂した。

 交渉が物別れに終わった後,両陣営は,それぞれの方式の実用化に邁進した。7月に,米国のビデオ・ソフト流通の業界団体Video Software Dealers Associationが,次世代光ディスクの規格統一を求める声明を発表したが,もはや手遅れだった。双方は,間近に迫った製品投入にむけてさらなる仲間づくりに力を注いだ。8月,それまで態度を明確にしていなかった米Twentieth Century Fox社は,Blu-ray Disc規格でコンテンツを提供すると正式に表明した。10月には米Paramount社米Warner 社といった,それまではHD DVDでコンテンツを提供するとしていた企業も,Blu-ray Discでの提供を明らかににした。一方でHD DVD陣営は,9月にパソコン業界の巨人,米Intel社と米Microsoft社の支持をとりつける。12月には,Blu-ray Disc陣営だった米HP社が,HD DVD支持を打ち出した。もはや規格分裂は不可避だった。

※本記事からリンクしている記事の一部は,閲覧の際にTech-On!の無料会員登録が必要です

2005年の次世代DVD関連ニュース(提供:Tech-On!)

■12月 ■11月 ■10月 ■9月 ■8月 ■7月 ■6月 ■5月 ■4月 ■3月 ■2月 ■1月