最初に何かをするというのは重要なことだ。現在,仮想化市場以上にこの言葉がぴったり当てはまる分野はほかにないだろう。Microsoftとその他多くの市場参加者は,必死になって巻き返しに出ようとしている。しかし,最初のx86仮想化製品を市場に出したのはVMwareであり,彼らが今でも他社をリードしているのは明白だ。

 VMwareは,三つの仮想化プラットフォームを提供している。VMware Workstation 6.0,VMware Server 1.0.4,そしてESX Serverだ。ESX Serverは,ハイエンドの企業分野を対象としている。しかし,VMware WorkstationとVMware Serverは重複する機能が多いため,それぞれがどのような組織を対象としているのか,若干わかりにくい。そこで今回の記事では,読者の皆様が自分の環境にあった製品を選べるように,WorkstationとServerの主な相違点について解説しようと思う。

10. 価格

 WorkstationとServerの大きな違いの一つは,その価格だ。今日の多くの仮想化製品と同様に,Serverは無料である。Workstationの販売価格は189ドルだ。しかし,価格が違うのには理由がある。以下で紹介するように,WorkstationにはServerに含まれていない高度な機能がいくつか搭載されているのだ。

9. サービスとして動作する

 WorkstationとServerの最大の違いの一つは,Serverがバックグラウンド・サービスとして動作するのに対して,Workstationは標準のデスクトップ・アプリケーションとして動作するということだ。そのため,Workstationはインタラクティブなパフォーマンスに優れ,Serverはマルチユーザーのサーバー統合シナリオに適している。つまり,開発プラットフォームとしてはWorkstation,生産プラットフォームとしてはServerがそれぞれ優れていることが多い。

8. 複数ユーザーによるアクセス

 Workstationはデスクトップ・アプリケーションなので,同時にWorkstationにアクセスできるユーザーは1人だけである。Serverはサービス・ベースの実装なので,複数のユーザーによる同時アクセスが可能だ。さらにServerは,リモート管理用のWebコンソールも搭載している。

7. 仮想マシンあたりのRAM

 ここまで紹介した機能ではServerが勝っているが,もっと高度な機能で比較すれば,なぜWorkstationのほうが価格が高いのかがわかるだろう。例として,RAM関連の機能について考えてみよう。Workstationは最大8GBのRAMを持つ仮想マシン(VM)をサポートするが,Serverは仮想マシンにつき最大3.6GBのRAMしかサポートしない。どちらの製品も,2ウェイ仮想プロセサのサポート,さらにUSBのサポートを提供している。

6. スナップショット

 スナップショットは,ある一時点における仮想マシンのイメージをキャプチャする機能だ。そのイメージを使って,仮想マシンをキャプチャが行われた時点の状態に戻すことができる。スナップショットは,仮想マシンの完全なコピーではなく,仮想マシンのイメージに加えられた変更のみをキャプチャするのだ。WorkstationとServerはどちらも基本的なスナップショット機能をサポートしている。

5. 複数のスナップショット

 WorkstationとServerのスナップショット機能の大きな違いは,複数のスナップショットのサポートの有無である。Serverは,単一のスナップショットしかサポートしていない。一方,Workstationは複数のスナップショットをサポートするうえに,利用可能なスナップショットの閲覧や管理を簡単に行えるスナップショット・マネージャも提供する。

4. 仮想マシンのクローン作成機能

 仮想マシンのクローン作成はWorkstationがサポートする高度な機能で,Serverには搭載されていない。クローン作成機能を利用すると,仮想マシンを短時間でコピーできる。スナップショットにはベース・イメージの存在が不可欠だが,クローン作成機能を使えば,全く新しい独立した仮想マシンを作成することが可能なのだ。

3. VM Teams(仮想マシンのチーム化)

 VM TeamsもWorkstationのみがサポートする高度な機能の一つだ。「Teams」機能を使うと,複数の仮想マシンを一つのグループとして管理できるようになる。例えば,ユーザーは仮想マシンのドメイン・コントローラ(DC)を作成した後,認証やその他のネットワーク・サービスの利用にそのDCを必要とする仮想マシン・クライアントをネットワーク内に一つ,または複数作成することができるのだ。

2. Host-guest drag-and-drop

 「host-guest drag-and-drop」を使うと,デスクトップやWindows Explorerにあるオブジェクトをホストからゲスト仮想マシンにドラッグできるようになる。デスクトップ・アプリケーションのアーキテクチャを持つWorkstationは「host-guest drag-and-drop」を完全にサポートするが,サービス指向のServer 8製品はこの機能をサポートしていない。

1. VMムービー・キャプチャ

 Workstationでムービー・キャプチャが可能なことを知らなかった人も多いのではないだろうか? 「VM(仮想マシン)」を選んで,メニューバーから「Capture Movie(ムービーをキャプチャする)」を選択すると,Workstationのムービー・キャプチャ機能はVM内のすべての活動を録画し,それをAVIファイルとして保存する。同機能が作成したAVIファイルは,Windows Movie Makerのような動画編集ソフトで編集することもできるし,Windows Media Playerで再生することもできる。Serverでは,ムービー・キャプチャ機能はサポートされていない。