日経SYSTEMS副編集長の森山 徹氏
日経SYSTEMS副編集長の森山 徹氏
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 「今,すごい勢いでサーバー統合が進んでいる。システム基盤の安定稼働が大きな課題になっているからだ」。

 日経SYSTEMS副編集長の森山徹氏は2008年1月30日,「ITpro EXPO 2008 名物記者によるトレンド解説」で「仮想化が変えるシステム基盤」と題した講演でこう語った。システム基盤とは,アプリケーションを支える土台のことで,サーバーやストレージなどのハードウエアと,OSやミドルウエアなどのソフトウエア全般を指す。

 システム基盤の安定稼働が課題となってきた背景は三つある。

 一つは,製品の組み合わせ問題。「2000年ころを境にメインフレームからオープンシステムへのシフトが進んだ。製品や技術を自由に選べるようになったが,その整合性は使い手が確保しなければならない。製品間の相性が悪いと性能が出なかったり,安定しなかったりする」(森山氏)。

 二つ目は,サーバーの乱立による運用品質の低下。「システムを作りやすくなり,社内にサーバーがあふれた。サーバーの運用管理は業務部門に任せられることが多いため,バックアップやパッチ適用の運用技術がバラバラになってしまった」(森山氏)。

 三つ目は,システムに求められる要件の高度化だ。「ビジネスの変化に応じてシステムの機能をすぐ変えてほしい,アクセスが増加したのですぐに性能を上げてほしいという要望が増えてきた。だが,こうした高度な要件に無理やり応えていると,システムがゆがんでしまう」(森山氏)。

 システム基盤を安定稼働させる手段として注目されているのが,サーバー統合なのだという。サーバーを統合すれば,運用品質を向上させたり,トラブルに対処したりするのが容易になるからである。

 サーバー統合には段階がある。「第1段階は設置場所の集約。これだけでもバックアップの取り方などを標準化できる。第2段階は,ブレードサーバーの導入によるきょう体の集約。設置面積や電気代を減らせる上,ブレードサーバーに備わるホットスワップ機能を使えばサーバーの信頼性を高められる」(森山氏)。また「XenやVMWareといった仮想化ソフトを使って,複数のアプリケーションでCPUやメモリーを共有する事例も増えてきた」(森山氏)という。

 仮想化ソフトを使うと,サーバーの台数を減らせるため,保守費用や電気代,サーバー設置面積,運用人員などを削減できる。それ以外にも「古いOS/アプリケーションを延命できる,リソースを有効活用できるといったメリットがある」(森山氏)という。