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第5回 利便性のPLC,安定性の同軸でLANのすき間を埋める
出典:日経コミュニケーション 2008年1月15日号
40ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります) 2008年は有線LAN,無線LANに加えて,高速電力線通信(PLC)と同軸ケーブルLANが物理層の選択肢に本格的に加わる年になる。 PLCは2006年10月に国内解禁,2007年秋に住友電気工業やネッツエスアイ東洋(旧東洋ネットワークシステムズ)などから企業向け製品が出荷され,企業利用の土台ができてきた。PLCには,もともとが通信用ではない電力線では安定した運用が難しいという弱点があるが,これは同じく2007年秋に登場したPLC技術転用の同軸ケーブル・モデムで補える(図1)。
親機と子機を使い分けるPLC企業向けのPLC製品は,家庭向け製品と違い数百台のPLCモデムを一元管理できる点が特徴である。PLCモデムを集中制御する「親機」を設置することで,TDMAによるQoS制御やVLANなどの利用が可能になる。PLCの方式は宅内向けに特化した松下電器産業の「HD-PLC」,米インテルなど北米勢が主導する「HomePlug」,そしてスペインのDS2の「UPA」の大きく三つあるが,企業向けではUPA方式が主流である。UPAのチップは信号を中継する機能を持ち,大規模なPLCネットワークを構築するのに向いているためだ。 会議室や受付といった場所にピンポイントで使う場合は,子機だけを使ったPLCネットワークを構築する。家庭用のPLCモデムと性能面では変わりないが,企業向けの製品では「ファームウエアを一括してアップデートできる」(NECネッツエスアイの松本次郎SI&サービス事業本部ICTソリューション推進本部企画開発部長)などの追加機能がある。 「テレビが映れば使える」同軸企業向け製品が増えてきたPLCだが,電力線を使う以上,安定した通信は難しい。裏を返せば,PLCには悪環境でも通信を続けられるような工夫が盛り込まれている。そこで物理層のみ同軸ケーブルに置き換えた製品が2007年秋に登場。有線LANの配線が困難なユーザーにとってPLC以外の選択肢として急浮上してきた。安価で集中制御が可能な同軸ケーブルLANを構築できる。 住友電工,ネッツエスアイ東洋は2007年9月にPLC技術を転用した同軸ケーブル・モデムを発売。同年10月から11月に順次出荷を始めた。伝送媒体が電力線から同軸ケーブルに変わった点を除いて基本仕様はPLC製品と同じである。ただ物理速度200Mビット/秒に対し,実効速度は最大約100Mビット/秒とPLCより20Mビット/秒ほど改善。通信用途での利用を想定している同軸ケーブルなので,電力線のように抵抗値の変動やノイズの影響を受けることはない。「各部屋への分岐を前提にしてテレビが映るよう設計されているので,物理速度と実効速度の差が少ない」(住友電気工業の徳丸亀鶴ブロードバンド・ソリューション事業本部ブロードバンド機器開発部長補佐兼PLC推進部長)。 PLCと同軸を統合管理PLCと同軸ケーブルモデムは,伝送媒体が相互に影響を与えることはないため併用が可能だ。「ホテルなどでの利用で客室は同軸ケーブル,宴会場や会議室はPLC,と使い分けるケースを想定している」(NECネッツエスアイの高橋英雄・情報ネットワークソリューション事業部ソリューション推進エキスパート)。 そこで必要になるのが,PLCと同軸ケーブルモデムの統合管理。NECネッツエスアイが同社のPLC/同軸ソリューション向けに販売する「TOYONETz SCOPE」は,両者を一括して管理できる(写真1)。住友電工は管理ツールを無償で提供するものの,統合管理については検討中の段階だ。
電話線で100M保証の製品も電力線,同軸ケーブルと同様の既存配線である電話線を利用した通信機器にも新顔が登場した。NECマグナスコミュニケーションズが2007年6月に発売した,電話線で全二重100Mビット秒を保証する「ESU」シリーズだ。通信方式,チップとも同社の独自開発。xDSL技術と異なり,アナログ電話とは排他利用になる。 ESUシリーズは,親機「ESU-C8」と子機「ESU-R」で構成(写真2)。親機から電話線を通じて給電するので,電源は不要だ。子機のみでの1対1接続も可能だが,その場合はACアダプタが必要になる。
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