オムロンフィールドエンジニアリングの関戸隆明・企画本部経営企画部長 同本部情報システム部長
オムロンフィールドエンジニアリングの関戸隆明・企画本部経営企画部長 同本部情報システム部長

 銀行のATM(現金自動預け払い機)、自動改札機、交通管制システム、小売業のレジ――。多種多様なオムロン製品の点検・修理といったアフターサービスを一手に引き受けるのがオムロンフィールドエンジニアリング(OFE)だ。企画本部の関戸隆明・経営企画部長は、2007年からCIO(最高情報責任者)に相当する情報システム部長も兼ねている。「兼務していると線引きが難しい。情報システム部が会社にIT(情報技術)投資を求める時に、経営企画部としては抑制する時もある」と苦笑する。

 現場を飛び回る技術者でありたいと立石技術サービス(現・OFE)に入社。ATMの保守サービスなどを担当してきた。阪神大震災の際には、余震が続く中で納入先である百貨店の社員とともにキャッシュ・ディスペンサーを運び出した。

 1998年からはコールセンター改革に取り組んだ。顧客満足度調査を行いOFEが求められているサービスを明確にしたり、スピードとサービスの品質を向上させるためオペレーターを第一次受け付け、手配連絡、技術者の後方支援など工程ごとに分けるなどしてきた。

 2000年にはITを活用しての業務改革も実施した。現場から技術者が進ちょくなどをNTTドコモの「iモード」を使って報告する仕組みを整えた。結果、技術者の現場到着時刻を15分、作業時間を10分短縮できた。進ちょく状況をネット上で顧客に公開するなどして苦情は10分の1以下に減少した。

 これまでITを駆使して業務改革に取り組んできただけに、経営企画部長に加えて2007年から情報システム部長を兼ねるようになったのは自然な流れにも見える。

 さっそく、情報システム部とコールセンター側で現状の課題や改善について定期的に議論する会議「e-情シス」を作り、利用部門と情報システム部門の協力度合いを高める手を打った。「OFEのサービスの幅を広げていければ」と抱負を語る。

Profile of CIO

◆経営トップとのコミュニケーションで大事にしていること
・当社でIT(情報技術)に求められるのは効率性。2007年に藤原啓史社長が就任した際には「IT部門の過去20年間の変遷を知りたい」といわれたので、きっちりと説明しました。ITの重要性は分かってくれています。

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・通り一辺倒の提案が多いのではないでしょうか。「こんなパッケージがありますが」というのではなく、うちのビジネスモデルを知ったうえでより具体的な話を持ってきてほしいと思います。コールセンターの大きなシステム刷新が終わったら、提案の数自体も減ったような気がします。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日本経済新聞
・朝日新聞
・プレジデント
・日経ビジネスアソシエ

◆最近読んだお勧めの本
・『佐藤可士和の超整理術』(佐藤可士和著、日本経済新聞出版社)
 アートディレクターは感性で仕事をすると思っていましたが、実にロジカル。状況把握から仕事の優先順位を付けて、といったPDCA(計画・実行・検証・見直し)のサイクルは、情報システムや経営企画にも通じる思考です。

◆ストレス解消法
・疲れがたまると沿線の銭湯によく行きます。大田区には温泉の湯を使った銭湯が多いのです。あとは、高校と大学でやっていたテニスをします。