クリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役
初音ミクの誕生は僕にとって必然だった
伊藤 博之 クリプトン・フューチャー・メディア代表取締役
 昨年,あるソフトウエアが驚異的なヒットを遂げた。それが音楽制作ソフト「初音ミク」だ。初音ミクは製品名であるとともに,このソフトを支えるアニメキャラクターでもある。初音ミクの歌が動画投稿サイトで公開され,ネットユーザーの間でブームが沸き起こった。初音ミクの生みの親であるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之代表取締役に開発経緯などについて聞いた。

「初音ミクでクラシック」の衝撃
飯尾 洋一 音楽評論家
 初音ミクは身長158cm,体重42kg,16歳の女の子(と設定されている。こういうディテールの設定はとっても大事だ)。得意ジャンルは「アイドルポップス/ダンス系ポップス」。しかし,クラシック音楽好きならこう思うだろう。得意ジャンルじゃなくて申し訳ないけど,クラシックも歌ってくれないか!

初音ミクを試してみる
矢野 りん ライター
 音楽ソフト素人である筆者が,知り合いの音楽家の協力を仰ぎながら,バーチャル歌手の「初音ミク」に挑戦した。作業中,筆者はずっと初音ミクの声マネで歌いながらデータを入力していた。この姿を見た人は「かなり,みっくみくにされている」と感じたことだろう。

女性記者が挑戦――音楽スキルゼロでできる初音ミク
 「YouTube」や「ニコニコ動画」にあがっている初音ミクの音源は,これらはいずれも“手練れ”による作品。では,音楽スキルのないユーザーが使ったらどうなるか――ということで,楽譜は読めない,弾ける楽器は女子高生のころに学校で習ったリコーダーくらい,という音楽スキルゼロの記者が挑戦してみた。

初音ミクと90年代DTM,共通する三つの魅力
 「初音ミク」のブームに押されて,昔のDTM(DeskTop Music)愛好家が音楽ソフトを購入し,制作活動を再開するケースが増えつつあるという。1990年代前半におけるDTMの状況を垣間見た者として,初音ミクと90年代前半DTMの共通点を考えてみた。