こんな宣伝文句を耳にしたことがあるだろう。曰く,「Windows Vistaはデスクトップの新しい標準です!」「Vistaの販売本数が4千万本に到達しました!」「VistaはMicrosoftが贈る最高のデスクトップOSです!」。しかし,オフィスを見渡しても使っている人は誰もいない。やがてあなたはVistaの正式な人柱となり,すぐに同僚を驚かせる(または同僚と共有する)多くの厄介事に直面することになる。私が選んだVistaの厄介事のトップ10を以下に挙げる。

第10位:アプリケーションの非互換性

 これは疑いなくVistaのアキレス腱である。特に既存のマシンのアップグレードを行う場合は致命的である。ビジネス環境でOfficeなどのアプリケーションを動かすのであれば,Vistaは何の問題もない。しかし,自宅マシンのアップグレードはまるで悪夢のようだった。NeroおよびRoxioの製品は最初に白旗を上げてしまった。多くのゲームがその後に続いた。User Account Control(UAC)のメッセージが出て起動できなかったものが多かった。ほとんどの会社がアップデートを用意しているが,Vistaで使用するためには通常,次のリリースにアップグレードする必要がある。

9位:Windows Aeroのハードウエア要件

 Windows XPからVistaへの移行を促す外見上の最も大きな要素はAeroインタフェースである。残念なことに,Aeroは最低128MBのビデオRAMなど,最新のグラフィック機能を要求するため,組み込まれたビデオアダプタを使用している旧製品の多くでは動作しないのである。一部の旧製品はビデオグラフィック・アダプタの追加をサポートしているが,サポートしていないものが多い。

8位:過剰なUAC

 私はUACの背後にあるコンセプトを理解しているが,実際は有効な情報はほとんど提供されない。単純に一般的な管理タスク実行時のダイアログボックスが増えているだけである。私は何か重要な情報が提供される場合に備えてUACを有効にしているが,User Accounts Control Panelアプレットでは無効にしても構わない。

7位:壁紙とテーマが消えてしまう

 Vistaにアップグレードすると,自作のすべてのテーマおよびデスクトップが新しいものに置き換えられてしまい,私にとっては何の魅力もないものになってしまった。また,Microsoftは他のあらゆるものを変えようとしているのに,スクリーンセーバータブのパワーオプションを自身のタブに取り込まなかったのはなぜだろうか。

6位:Windowsエクスプローラの設定が失われてしまう

 失われてしまうと言えば,Vistaではフォルダが変わるたびにWindowsエクスプローラの設定が必要なのはどうしてだろうか。何度試してみても自分が要求するソート順序を保存することができなかった。しばらくの間そのソート順序は有効なのだが,結局ファイルのソート順序がアルファベット順に戻ってしまうのである。

5位:エクスプローラのドラッグ&ドロップ

 VistaのWindowsエクスプローラで本当にいらいらするもう一つの機能は,カーソルがある場所にファイルをドロップしてしまうことである。フォルダを日付順に整列して新しいファイルをフォルダにドロップする場合は,最新のアイテムとして最後に置きたいのである。Vistaではそのファイルがリスト内のマウスを離した位置にドロップされてしまうのである。

4位:アンチウイルス・ソフトウエアの非互換性

 アプリケーションソフトウエアの非互換性の問題と同様に,アンチウイルス・ソフトウエアの非互換性に対する答えは,アップグレードを購入してVista互換リリースに変更することである。Vistaのx64バージョンを動かす場合は,すべてのアンチウイルス・ソフトウエアのベンダーがx64エディションをサポートしているわけではないため,製品の切り替えが必要になる場合がある。

3位:VMware仮想化ソフトウエア

 私が持っているVMware Workstation 5.5はVistaでは全く動作しなかった。私はWorkstationの新しいバージョンを購入せずにVMware Server 1.03に切り替えた。ただしドライバの問題に直面した。何らかの不可解な理由でVMwareがドライバに署名しないのである。VMware ServerをVistaで動作させるには,システムの起動時にF8を押し,Disable Driver Signature Enforcementを選択する必要がある。

2位:困難になったデュアルブート

 XPでは,仮想化によってデュアルブート・システム構築の必要はほぼなくなっていた。しかし,Vistaは私のお気に入りのVMware製品と互換性がないため,様々なシナリオをテストするという切迫した要求もあり,すぐにデュアルブートが頭に浮かんだ。残念ながら,古き良きboot.iniはもう存在せず,XPの単純なブートプロセスはVistaのほぼ理解不能なBoot Configuration Data Editor(bcdedit.exe)に置き換わってしまった。私はVistaでいくつかのデュアルブート・システムを構築したが,XPの場合のように簡単にはいかなかった。

1位:All-in-Wonderカードの非互換性

 私にとってはこれがVistaで一番不満なことである。これはより一般的なドライバの非互換性の問題なのかもしれない。ただしATIのAll-in-Wonderカードは私のマシンで最も重要なパーツなのだ。ATIのVista互換をうたっているカードは,XPで動作する場合とは異なり,ビデオ・キャプチャ機能をサポートしていないのだ。さらに悪いことには,この製品は完全な機能を提供しないにもかかわらず「Works with Windows Vista」ロゴを取得しているのである。これは単なる間違いだろう。