皆様お久しぶりです。昨年の9月から新しい記事の公開ができず,今日まで時間があいてしまって申し訳ありませんでした。

 思えば昨年(2007年)8月にJANOGの会長を引退してからというもの,サイバー大学のお仕事や独立後の会社の仕事など,まさに「東奔西走」しており,あっという間に過ぎてしまいました。

 その間,会社の仕事などでもいろいろ進展がありましたが,その辺の話はまた今度ということにさせて下さい。

 それはそうと,2008年1月24日から25日の2日間に渡って熊本市で行われた「JANOG21 in 熊本」に参加してまいりました。今回は,そこで私が興味をもった話題などについて,お話させていただきます。

 今回のJANOGミーティングは,熊本県・熊本市で行われました。参加者は343名,1日目の夜に開催された懇親会には,なんとこのうち290名近い方々が参加されました。詳しいプログラムなどについては,JANOGのWebサイト(http://www.janog.gr.jp/meeting/janog21/)をご覧頂ければと思います。

写真1●熊本県・熊本市で開催された「JANOG21 in 熊本」の本会議の様子   写真1●熊本県・熊本市で開催された「JANOG21 in 熊本」の本会議の様子

若手をつかむ「U-30 BoF」

 本会議自体のプログラムは,1月24日から25日の2日間ですが,これに先立ちBoFが開催され,前日夜から盛り上がりを見せていました。

 BoF(birds of a feather;有志による議論)では,Root DNSサーバーのAAAA登録(DNSのIPv6の正引き登録)に関して,東京大学の加藤 朗先生が出張先の海外から電話で講演したり,経路情報を正しく保つための機構に関して,JPNICの木村 泰司さんから,IRR(Internet Routing Registry)を使ったセキュアなルーティングに関する提案などがありました。

 この中で面白い企画だと感じたのが,U-30 BoF(正式には「U30で語り合うこれからの10年」)というミーティングでした。参加者が30歳未満限定で,若いインターネット技術者が集い,インターネットのこれからの10年について語り合うというものです。私はとうの昔に30歳を超えてしまっているので,残念ながら参加資格すらありませんでしたが,このBoFのチェアを務めたドリーム・トレイン・インターネットの馬渡 将隆さんの話では,多くの参加者が集まり,非常に面白い議論ができたとのことでした(実は彼も30歳を超えていますが,チェアということで特別参加だったそうです)。

 昨今のインターネット関連の技術者,特にネットワーク技術者については,毎年平均年齢が1歳ずつ上がっているといも言われており,技術者不足が語られます。しかし,このJANOGの様子を見ていたら,その不安は少し解消されました。事実,JANOGの参加者は毎回3割近くが初回参加者で,公募スタッフも同様です。彼らが新たな発想のもと次のJANOGを作っていくことを切に願うばかりです。

戦え!「場外乱闘!」

 場外乱闘といっても実際に拳を振り上げて戦うわけではありません。振り上げるのは,「ホワイトボードマーカー」です。JANOG本会議では,プログラムを時間通りに進行させる必要があるため,質疑などはどうしても時間制限ができてしまいます。これは,スタッフも毎回頭を悩ませるところです。その中から「続きは懇親会で」というキーワードも生まれ,突っ込んだ議論は本会議を終えたあとの懇親会や会場外の休憩室などで行われていました。

 今回のJANOGでは,これに加えて「場外乱闘」を設定。本会議終了後,プログラムのテーマ別にホワイトボードが用意され,そこで引き続き議論を行うというものです。なかでも,2日目一つめの「NGNなんて関係ネーと思ってねぇ?」に関する「場外乱闘」は白熱していました。発表者であるJPIXの石田 慶樹さん,NTT東日本の水越 一郎さん,IIJの浅羽 登志也さんを加え,ホワイトボードでNGN(次世代ネットワーク)とインターネットに関する将来の方向性やxSPの今後の付き合い方などについて多くの方が入り混じって,まさに「大乱闘」が繰り広げられました。

写真2●会議場の外に用意したホワイトボードを使って議論の続き   写真2●会議場の外に用意したホワイトボードを使って議論の続き