【スペシャル対談】オープンマインドがウェブを変える―― ジョン前田氏 × 岩城陸奥氏コンピュータサイエンティストが見据えるウェブの本質とはMITメディアラボ教授から2008年6月にRhode Island School of Designの学長に就任するジョン前田氏に,テクノロジとデザインが融合する時代でウェブデザインはどう形を変えるのか,ウェブの本質とは何かについて話を聞いた。聞き手はミラコム代表取締役でITpro連載「岩城陸奥の“Webサイト活用塾”」筆者,岩城陸奥氏。(構成:矢野りん)
サイトデザイン教育論
岩城: 筑波大学在学中からの付き合いですね。当時日本では「ジョン前田はエンジニアである」と型にはめて見ていた人もいました。エンジニアリングとデザインは本質的には同じなのに。しかし現在でも状況は変わりません。ウェブデザインはビジュアルデザインなどフィジカルに伝わるデザインと,その裏で動くサービスや機能を包括的にとらえなければならない。 では誰がそれを考えるべきなのか,議論は続いています。以前もエンジニアにデザイン教育を施すのと,デザイナーにエンジニアリングを教えるのと,どっちが効率的かを話したことがありましたよね。結論は出なかった。 学生に聞くと,「両方やりたいんだけど学校が分かれているじゃないか」という意見も出ます。それぞれ「デザインしか,あるいはプログラムしか教えてくれない」と。 前田さんはコンピュータサイエンスからメディアデザインに傾いてきて,最近ではカルティエ現代美術財団で個展を開くなど絶えず変化しています。デザインとテクノロジの間を自由に行き来しているように見えますが,普通そこを越えるには並々ならぬ覚悟がいる。 前田: 10年前に考えた,「技術系の学生にデザインを教えるのと,デザイン系の学生にエンジニアリングを教えるのとどちらが良いか」ですが,前者の場合1000人の学生のうちアートをやりたい学生は1人か2人しかいなかったと思います。 一方後者でテクノロジに興味を持つ学生は1000人中100人はいたでしょう。2008年の今,この数はもっと増えているはずです。しかしおっしゃるとおり,希望に合った教育機関はない。
ところで学長就任が決まった後,ある高校生からメールをもらいました。「僕はウェブデザインが大好きなのでRISDに行きたいのですが,自転車の絵が描けません。僕でも入れますか?」とね。 岩城: 絵が描けなければアートスクールには入りにくいですね。 前田: でもそういう学生でもどこかの大学には行く。そして仕事に就く。能力のある学生なら,ちゃんと独立できる。そういうシステムにはなっている。バックグラウンドは様々で,どこかの「藩」には属していないけど自立しているという,頼もしい「浪人」みたいな人。僕はいつの間にかそういう浪人のリーダーになってるの。
プリンストン大学出身のジョナサン・ハリスも代表的な浪人と言っていいでしょう。彼は絵を描くのもプログラムを書くのも両方うまい。
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