2008年最初の「コミュニケーション・スキル講座」です。昨年1年間,良いコミュニケーションを意識的に取ることができましたか?人とかかわりながら仕事を進めていくうえでの基本となるコミュニケーション・スキルについて,今年も皆さんの仕事に役立つような考え方やポイントについて紹介していきますので,よろしくお願いします。

 さて,今回のテーマはインタビュー・スキルです。

 インタビュー・スキルはどんな職種でも必要になるスキルです。皆さんも,様々な場面でインタビュー・スキルの必要性や重要性を感じているのではないでしょうか。
例えば,SEの場合,要件定義のためには顧客へのインタビューが必要になりますし,インタビューのアウトプットが,その後のプロジェクト全体の進め方や結果に大きく影響します。

 今回はどのような目的,種類のインタビューでも役に立つ,基本的なポイントを紹介しましょう。

潜在的な考えや要望を聞き出す

 インタビューは,顧客から要件を引き出す,プロジェクト・メンバーから進捗を引き出すーーというように,相手から考えや要望を引き出すコミュニケーションであり,「訊く(尋ねる)」スキルと「聴く」スキルを組み合わせて実施します。

 ただし,インタビューの相手が顧客であれ社内メンバーであれ,相手の頭の中で,考えや要望がすべて明確になっているとは限りません。このため,既に頭の中で明確になっている(顕在化している)考えや要望だけではなく,潜在的な考えや要望も含めて聞き出す必要があります(図1)。

図1
図1●相手の潜在的なニーズや考えを含めて聞き出すのがインタビュー

 この点は非常に重要なので,よく覚えておいてください。システム開発プロジェクトでも,最初のインタビューで相手の潜在的な考えや要望をしっかりと聞き出せていなかったために,顧客やユーザーの「本当にしたいこと」を掴みきれず,後になって「実はこうしたかった」「思っていたことと違う」となってしまうことがあります。その結果,手戻りが何回も発生してしまったり,場合によっては相手との信頼関係までも損ねてしまうことがあります。