Windows Vista とWindows Server 2008 では、TS(ターミナルサービス)のコアエンジンに多くの改良を行いました。コアエンジン(termsrv.dll)は、lsm.exe(コアセッションマネージャコンポーネント)とtermsrv.dll(リモート接続の管理)の2 つのコンポーネントに分けました。

 LSM(Local Session Manager)は、ブート時に開始されるコアシステムプロセスの1つで、セッション管理を行います。LSM はまた、他の主要なシステムコンポーネント(smss.exe、winlogon.exe、logonui.exe、csrss.exe、win32k.sys など)と対話して、OS の他の部分をセッション管理操作と同期させることや、適切なグラフィックスドライバのロード、セッション切断時のドライバのアンロードなどの動作を確実に実行します。LSM はすべての接続を管理し、リモートデスクトップが有効でなくてもFUS(FastUser Switching :ユーザーの簡易切り替え)などの機能をVista に提供します。

 Termsrv サービス(svchost.exe 内で実行されるtermsrv.dll)は、リスナをホスティングし、そのリスナがカーネルモードのTDI ドライバに着信する接続要求を監視するよう指示します。また、一連のセッション決定、ライセンスサーバーとの対話、Media Center エクステンダセッションのサポート、プロトコルスタックのRDPレイヤとの対話、LSM との通信も行います。

 そのため、誰かがリモート接続をオフにする必要があるときは、FUS をオフにしなくても実行できるので、複数のユーザーはログオフしなくてもマシンをローカルで使用できます。これは、LSM がFUS の必要とするセッション管理機能をすべて管理するからです。

 もう1 つの重要なメリットは、セキュリティです。LSM だけがシステム権限を引き継ぎ、すべてのtermsrv.dll コードは権限レベルのずっと低いネットワークサービス権限を引き継ぎます。LSM で実行されるのは、古いTermsrv コードの3 分の1 しかありません。つまり、Windows XP およびWindows Server 2003 と比べると、攻撃にさらされる領域がかなり減少したのです。