NISグループの平哲博システム企画部長
NISグループの平哲博システム企画部長

 中堅ノンバンクのNISグループはここ数年、貸金業から総合ノンバンクへの脱皮を目指して大きく業態を変えつつある。2004年に消費者向けローン債権を売却し、不動産投資や中国内でのリースや融資事業など4事業に注力した。

 この事業構造改革に伴って、2005年度中間期に営業収益の46%を占めていた貸付金利息収入は、2007年度中間期には18.1%に低下した。代わりに不動産売却収入が営業収益の16.6%から41.8%に比率上昇している。中期経営計画の最終年度となる2010年度には営業収益を現在の約1.5倍の1350億円に、営業利益は約3.4倍に伸ばす目標である。

 同社はニューヨーク証券取引所に上場しており、米国版のSOX法対象企業である。それだけに、同社システム企画部の平哲博部長は目下、内部統制関連の仕組み作りに取り組んでいる。1億3000万円ある新規投資予算額の大半を内部統制関連につぎこんでいる。例えば、月間4000万行にもなるデータベースへのログイン情報などのログを収集・分析する仕組みを2007年度中に導入するなどだ。

 IT(情報技術)統制の強化の大きな課題は中国関連だという。同社は、2007年度の2億2700万円から2010年度に158億円へと中国関連事業の急拡大を計画している。それだけに、中国ビジネスを支えるシステムの運用保守体制作りは重要だ。

 ところが中国の現地法人が使うシステムは現地発注のもので、設計書すら残っていないシステムがあるという。設計書をソフト開発業者が残さないのは中国では普通のことだというが、「保守契約などを継続することで対応していくしかない」と平部長は戸惑いを隠せない。中国の業者をうまく使うノウハウも重要な課題となってきているようだ。

Profile of CIO

◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・真面目すぎる人が増えている気がします。RFP(提案要求書)で書いたことだけしか提案してこなかったり、我々を貸金業としかとらえていないベンダーもまだまだいます。広く知識を持って一点深い「T型人材」が増えてほしいと思います。最近は、業務が細分化されているせいか、「I型人材」が多い気がします。開発陣の中心人物にT型人材がいてくれればうまくいきそうですが、なかなかいないのが残念です。

◆普段読んでいる新聞・雑誌
・日経情報ストラテジー
・日経コンピュータ
毎朝重要な情報は、広報部門がクリッピングしてくれているのでそれを読んでいます。

◆最近読んだお勧めの本
・『ローマ人の物語』(塩野七生著、新潮社)

◆情報収集のために参加している勉強会やセミナー・学会など
・プロジェクトマネジメント関連のセミナーをよく受講しています

◆ストレス解消法
・能と狂言。檜(ひのき)の香りが好きなので落ち着いて気分がすっきりします。既に今月は2回行きました。