この連載の主人公である丸山さんは,10月からBP商事にシステム担当要員として採用された若手の“自称”システム管理者である。友人の進藤さんの勧めで初級システム・アドミニストレータの試験を受験し合格。それを機にBP商事に転職することになった。

 ところが丸山さんには,システムの構築や運用管理の経験が実はまったくない。Windowsに関しては知識があってトレーナの資格も持っているものの,サーバーをはじめとする企業システムについては実務経験がないのだ。

 本連載では,丸山さんがBP商事で遭遇するさまざまなトラブルを題材に,企業におけるサーバー管理者の仕事を基本から身につけていこう。

クライアントOSでサーバーを代用

 丸山さんが入社したBP商事は,社内LANこそ構築してあるものの,サーバーOSを動作させているサーバー機はなかった(図1)。その代わりにクライアントOSであるWindows 2000 Professionalを搭載したデスクトップ・パソコンの電源を常時入れて,簡易サーバーとして使っていた

図1●丸山さんが入社したBP商事のネットワーク構成
図1●丸山さんが入社したBP商事のネットワーク構成
クライアント向けのWindows 2000 Professionalを搭載したパソコンを常時オンにし,簡易サーバーとして使っている。ここに専用のWindowsサーバー機を導入することが丸山さんに与えられた仕事だ。
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 パソコンは一人に一台ずつあり,事務系の社員はデスクトップ・マシンを使用している。社外に出かけることが多い営業担当社員はノート・パソコンを持ち,社内では無線で社内LANに接続する。プリンタは簡易サーバーに接続した1台を共有していた。

 社内LANとインターネットは,光ファイバを利用したブロードバンド接続サービスで接続。メール・サーバーやWebサイトは,プロパイダが提供する公開サービスを使用している。独自ドメインは持たずに,プロパイダのアドレスを使用していた。

 BP商事には,これまでシステムを担当する専任者はおらず,パソコンに詳しい社員の山田くんがボランティアでシステムの管理をしてきた。だが,無計画に運用してきたため,さまざまなトラブルが発生している。そこで,システム運用を専門に担当する社員が必要と考え,社長は丸山さんを採用したのだ。