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解答の解説記事 解答の解説記事 



【Windows Server 2008検定検定】の平均点
Webサイトでの受験者 53.5
会場での受験者 41.5
総合 47.5

 ITpro EXPOで実施した「Windows Server 2008検定」は,同OSを運用する上で必須の知識を問うものだ。問題を作成したグローバルナレッジネットワークの横山哲也氏によれば,「マイクロソフト認定プロフェッショナル(MCP)試験の問題と,ほぼ同じ難易度」であるという。そのためか,平均点は100点満点で47.5点とかなり低かった。

 今回出題した10問は,Windows Server 2008の新機能に関するもので占められている。各問の正答率は,以下の通りである。

表1●Windows Server 2008検定の正答率
設問 分野 正答率
問1 仮想化(Hyper-V) 47.2%
問2 仮想化(Hyper-V) 26.4%
問3 読み取り専用ドメイン・コントローラ(RODC) 69.6%
問4 パスワード・ポリシー 53.8%
問5 ファイル共有(SMB 2.0) 58.6%
問6 グループ・ポリシー(USBメモリーの使用禁止) 71.8%
問7 ネットワーク・アクセス保護(NAP) 41.4%
問8 ターミナル・サービス(RemoteApp) 47.5%
問9 サーバー・マネージャ 53.0%
問10 IIS 7.0 14.5%

写真●問題の作成並びにITpro EXPOでの解説も行った,グローバルナレッジネットワークの横山哲也氏
写真●問題の作成並びにITpro EXPOでの解説も行った,グローバルナレッジネットワークの横山哲也氏
[画像のクリックで拡大表示]
 「グループ・ポリシー」や「読み取り専用ドメイン・コントローラ」といった,Active Directoryに関する設問(問6,問3)では,正答率は概ね高かった。その一方で,仮想化(Hyper-V)に関する設問(問1,問2)や,Internet Information Services 7.0(IIS7)に関する設問(問10)は,正答率が極めて低くなるという傾向が見られた。

 正答率が最も低かった「問10」は,IIS7における管理機能の強化点を質問したものだった。

【問題10】
 あなたはWindows Server 2008ベースのWebサイト管理者である。今後のサイト利用者増加に備えて,Webサーバー・ファーム環境を構築することが決定した。Webサーバー・ファームを構成する5台のWebサーバーは,常に共通の環境情報で構成する必要がある。すべてのWebサーバーの構成を簡単に統一するための最適な方法は何でしょうか。

 【選択肢】 正解
A) applicationHost.configファイルを共有フォルダに配置し,全Webサーバーが参照するように設定する
B) applicationHost.configファイルを管理用Web仮想サイトに配置し,全Webサーバーが参照するように設定する  
C) applicationHost.configファイルを共有フォルダに配置し,スクリプトを実行して各Webサーバーに複製する  
D) applicationHost.configファイルをActive Directoryアプリケーション・パーティションに配置し,全Webサーバーが参照するように設定する  

 この問題では,回答者の39.0%が選択肢Bを,34.2%が選択肢Dを選択しており,正解である選択肢Aを選んだ回答者は14.5%に過ぎなかった。Windows Server 2008では,IIS 7.0の構成情報(「メタベース」と呼ぶ)が,「applicationHost.config」という名前のXMLファイルで管理されており,複数のWebサーバーで構成情報を共通化する場合は,このXMLファイルを単純にファイル共有すればよいことになった。

 「共有フォルダに配置する」という非常に単純な手法であるが故に,選択肢Aを回避し,選択肢BやDを選択した回答者が多かったのだろう。

Hyper-Vのドライバ動作モデルに戸惑い

 Windows Server 2008の目玉であるハイパーバイザー・ベースの仮想化機能「Hyper-V」に関する設問の正答率も低かった。

 正答率が47.2%だった問1は,ハイパーバイザーの利点について質問したものである。

【問題1】
Windows Server 2008のサーバー仮想化機能について,正しく説明したものはどれでしょうか。

 【選択肢】 正解
A) 仮想化機能は,サービスとして構成されるため,仮想化基盤となる物理サーバーが安定して動作する  
B) 仮想化機能は,プラグ&プレイ・ドライバとして構成されるため,仮想化機能の有効化/無効化が簡単にできる  
C) 仮想化機能は,物理サーバーと仮想サーバーの中間層に位置する特殊なドライバとして構成されるため,仮想化のオーバーヘッドを最小限に抑えられる
D) 仮想化機能は,Windows Server 2008の一部として構成されるため,すべてのWindows Server 2008に仮想化機能が搭載される  

 この問題では回答者の26.9%が,「すべてのWindows Server 2008に仮想化機能が搭載される」という選択肢Dを選択している。Hyper-Vが「Windows Server 2008標準の仮想化機能」であることから,これを選んだのだろう。しかし実際には,Hyper-Vが搭載されないWindows Server 2008も存在するため(各エディション名に「without Hyper-V」が付く),選択肢Dは誤りである。

 正答率が26.4%と,全10問中で2番目に正答率が低かった問2は,Hyper-Vにおける物理ドライバの動作モデルを質問したものだった。

【問題2】
Windows Server 2008のサーバー仮想化機能における,物理デバイスのドライバについて正しく説明したものはどれでしょうか。

 【選択肢】 正解
A) 物理ドライバはいずれか1つの子パーティション(プライマリ・パーティション)にインストールされ,単一のパーティション上で動作する  
B) 物理ドライバは親パーティションにインストールされ,親パーティションで動作する
C) 物理ドライバはすべての子パーティションにインストールされ,個々のパーティション上で動作する  
D) 物理ドライバはハイパーバイザーにインストールされ,ハイパーバイザー上で動作する  

 回答者の36.4%が,「物理ドライバはハイパーバイザーにインストールされ,ハイパーバイザー上で動作する」という選択肢Dを選んでいる。しかしHyper-Vでは,物理ドライバは親パーティションにインストールされ,親パーティションで動作する。

 実は競合製品である「VMware ESX Server」では,選択肢Dのように,物理ドライバがハイパーバイザーにインストールされ,ハイパーバイザー上で動作する。既存のハイパーバイザー型仮想化技術に詳しい回答者ほど,誤った選択肢を選んだ可能性がある。

 マイクロソフトは,Hyper-Vのハイパーバイザーには,サード・パーティ製を含むあらゆる物理ドライバがインストールできないため,「悪意のあるコードが侵入できない」という点で安全であると主張する。また,Hyper-Vのような物理ドライバを含まないハイパーバイザーを「マイクロカーネル・ハイパーバイザー」,ESX Serverのような物理ドライバを含むハイパーバイザーを「モノリシック・ハイパーバイザー」と呼んでいる。

 なお今回の検定では,仮想化機能はHyper-Vに関してのみ質問しているが,実際のMCP試験には,既存の仮想化技術である「Virtual Server 2005 R2」についても問題が出される。Windows Server 2008対応のMCP試験を受ける際には,Virtual Server 2005 R2についても予習しておくのが望ましい。

 既にマイクロソフトでは,Windows Server 2008に対応したMCP試験を開始している。Windows Server 2003対応の資格保有者に対して,受験料を割り引くキャンペーンなども行われているので,興味のある人はチャレンジしていただきたい。