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 グループウエアの使いこなしや情報共有のあるべき姿を本音で議論してきた座談会は、最終回を迎えた。議題は日本企業に本当に合った情報共有ツールは何なのか、ITと対面のやり取りをどう融合させるか(第1回、第2回の内容はこちら)。議論は電子メールの使いこなしという古くて新しい課題から、ブログやSNSの効能に及んだ。そしてITを使った情報共有はデジタル社会の必須スキルであり、利用者側のテクニックを磨くべきという結論に達した。(構成:玉置 亮太=日経コンピュータ、写真:吉田 明弘)

写真1●畑 久仁昭 東亜建設工業 管理本部副本部長BCPプロジェクト室長
写真1●畑 久仁昭 東亜建設工業 管理本部副本部長BCPプロジェクト室長
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 最終回となる第3回の勉強会を始めるにあたって、座長を務める東亜建設工業の畑久仁昭管理本部副本部長は、これまでの議論を踏まえてテーマを提起した。「まず第1回で『どのような情報を共有すべきか』という基本を、第2回はより具体的にグループウエア製品の使いこなし方を話し合った。第3回では、我々の仕事に本当に適した情報共有ツールはどういったものなのか、そしてITによるバーチャルな情報共有やコラボレーションを現実の仕事とどう融合させればよいのかを話し合ってはどうか」。

 その上で畑 副本部長は、議論の前提として自身の考える「理想のコミュニケーション像」を披露した。「古い話で申し訳ないが、ITという言葉がない時代に、コンピュータによる情報共有を考えるセミナーに出席したことがある。そこで作家の曽野綾子さんが言った一言を今でも覚えている。日本の建設現場は、「あれを持ってこい」ですべて通じる。これが本当の情報共有ではないか、というものだ」。

 畑 副本部長は、ITツールを使ったコミュニケーションも究極的にはこうあるべきだと述べる。「『あれ』『これ』で通じる世界をITで実現できれば、最も望ましいのではないか。誰がいつ、何をするのかといった情報を、人間がコンピュータを操作して事細かに管理するのは、面倒で仕方がない。もちろん今のグループウエアの使い勝手はずいぶんよくなってはいるが、人間のコミュニケーションのあり方に沿って、道具ももっと進化してほしいと思う」。

古くて新しい、メールのリテラシ向上策

写真2●鈴木 智也 モンテール 取締役管理本部長
写真2●鈴木 智也 モンテール 取締役管理本部長
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 参加者らは現在、グループウエアをはじめとしたITツールを使って自然なコミュニケーションを実現できているのかについて、意見を述べ合った。まず議論に上ったのは電子メールである。業務連絡から内輪の宴会のスケジュール調整まで、電子メールは企業内のコミュニケーション・ツールとして完全に定着した。

 「グループウエアの電子メールが持つコメント機能が、とても重宝している」。モンテールの鈴木智也 取締役管理本部長は、自社の活用例を述べた。同社が採用しているグループウエアは、送信したメールに後からコメントを付けることができる。「書き忘れたことがあったり、付け加えたいことを後から思いついたりしたときに便利。掲示板を更新するように、情報を適宜更新していける」(同)。

 オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担当の坂井忠史氏も、コメント機能の有効性を強調した。同社は一部の社員を除いてパソコンは社員が共有している。メールについても、基本的に社員同士で閲覧できるようにしている。「今まで紙で掲示したり通達していた事項を共有するための、掲示板代わり」(坂井氏)という位置付けにしているためだ。

写真3●坂井 忠史 オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担当
写真3●坂井 忠史 オリエンタルホテル東京ベイ 経営企画部経営企画課経営企画担当
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 「コメントが付くと新着情報となって、一覧画面の最上部に表示される。誰がいつ書き込んだかも分かる。追加されたコメントを共有することで、周知すべき情報をきちんと伝えられる。メールを共有するという仕組みは、社員にとってとても分かりやすかったようだ」(坂井氏)。

 一方、利用者のリテラシをいかに高めるかは、いまだに難しい課題。参加者は電子メールの便利さを実感しつつも、使いこなしの難しさや電子メールの弊害を、改めて口にした。「声をかければ一言で済む話もメールしようとする。オフィスが静かになった気がする。仕事のコミュニケーションとして、これは望ましいことなのか」「文面に気を遣わないといけないから、かえって時間がかかったりしている」「思うように文章で伝えられず、誤解を生んでしまったりもする」「といって、絵文字を入れるわけにもいかないしね」(笑)。

 メールのリテラシやエチケットは、それこそメールが登場した当初から議論されてきた。それだけ古くて新しい課題と言えるだろう。

 現在、メールのアドレスは個人に1つずつあるのが普通だ。企業で利用するツールとして、この運用方法以外に検討すべき方法はないのか。参加者からは「共有アドレス」を有効活用することの意義を指摘する意見が出た。部署で一つのアドレスを設定し、そのアドレスで送受信するメールをメンバー全員が閲覧できる。こうすることで、メールの「作法」も共有できるというわけだ。

 「個人だけで使っていると他人の使い方が見えないので、いつまでたってもその人独自の使い方しかわからない。結果として、メールのリテラシに社員間ですごく差がついてしまっている」。続けて、こんな意見も出た。「電話なら、他人の電話の取り方とか電話口でのやりとりを耳の端にとらえて、だんだん作法を覚えていくのに、メールではこうしたマナーの身につけ方が難しくなっているのではないか」。