専門記者が読み解く2008年のキーワード

内部統制,仮想化,NGN。流行のキーワードからトレンドが見えてくる。そこでITpro読者に対し,注目のキーワードに関するアンケートを実施した。のべ1万を超える回答から専門記者が今注目のキーワードを厳選,2008年のICTのトレンドを座談会形式で語る。

読者が選んだキーワードはこれだ

読者が選んだキーワード2008年総合ランキング

 ITpro読者が選んだ2008年の注目キーワードの1位は「内部統制,日本版SOX法(J-SOX)」─。ITproが実施した「ITpro読者に聞く2007年/2008年重大トピックスに関するアンケート」の結果である。ここから,2008年注目のキーワードを見てみよう。

 1位のJ-SOXとは,上場企業が提出する財務報告の虚偽や誤りを排除することを目的とした,金融商品取引法の「内部統制報告制度」のこと。2008年4月以降に始まる事業年度から適用される。対象企業は文書化作業やシステムの見直しに追われているところだ。

 2位は「3.9 G,4 G携帯電話」。3.9 G携帯電話は,3G携帯電話を発展させて通信速度を最大300Mbps(下り)程度に高速化したもの,4G携帯電話は下り最大5Gビット/秒を実現するものだ。

 3.9G携帯電話については,例えばNTTドコモが実証実験を始めたほか,2007年に行われた展示会で実機デモが見られるなど現実味が増してきた。

 3位の「IPv6」は,IPv4アドレスの枯渇問題がきっかけだろう。国内のIPアドレス体系を管理する日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が具体策を検討し始めたほか,総務省も研究会を発足した。その解決策としてIPv6が浮上するわけだが,Windows VistaがIPv6に標準対応するなど,利用環境も整ってきた。

 10位以内に入った注目キーワードを見渡すと,2008年以降に登場する製品やサービスが大きく順位を上げている。2位の「3.9G,4G携帯電話」や4位の「Windows Server 2008」,9位の「NGN」がそれだ。10位の「IEEE802.11n」も,正式版の対応製品が登場するという意味では,この範ちゅうだ。

 これらはいずれも,2007年の注目キーワードでは30位以下だったが,2008年は10位以内に入った。それだけ期待されているのだろう。

 中でも「Windows Server2008」は,2007年の89位から4位と,最もジャンプアップした。Windowsサーバーの新版ということに加え,5位に入った「仮想化」機能も備えており,注目度が高まったと思われる。

座談会・目次

マネジメント/情報システム
内部統制/日本版SOX法,SaaS,巨大システム刷新(日本郵政/社会保険庁),BCP

プラットフォーム
Windows Vista/Windows Server 2008,グリーンIT,仮想化

ソフト開発
リッチクライアント,Ruby

セキュリティ
スピア(標的)型攻撃/CSIRT

ネットワーク/モバイル
NGN,スマートフォン,Second Life/YouTube/ニコニコ動画


アンケート調査の概要

 本特集で掲載した調査結果は,ITproが2007年11月27日~12月5日にWebサイト上で実施した「ITpro読者に聞く2007年/2008年重大トピックスに関するアンケート」によるもの。全体で5種類のアンケートから構成した。

 「あなたが注目するキーワード編」は,編集部が選んだ126個のキーワードから2007年/2008年注目のキーワードを選ぶもの。有効回答は3909である。

 他の4つは各分野ごとに編集部が注目しているキーワードに関して,それぞれ5~7問の設問からなるアンケート。分野と有効回答は,「マネジメント/情報システム編」が1986,「プラットフォーム編」が1662,「ソフト開発編」が1667,「セキュリティ/ネットワーク/モバイル編」が1953だった。総有効回答数はのべ1万1177。調査の告知は,ITproを中心に日経BP社が発行するメールマガジンおよびWebサイト上で行った。