バックアップやアーカイブに使うテープ装置には,一般にデータ圧縮機能が付いている。ファイル・サーバー上の1TBのデータでも,圧縮機能を使うことでLTO(Linear Tape-Open)Ultrium 4のテープ・カートリッジ(容量は800GB)1本に収めることが,理論上はできる(表1)。

表1●LTO規格のテープの記録容量
非圧縮 圧 縮
LTO 2 200GB  400GB 
LTO 3 400GB  800GB 
LTO 4 800GB  1.6TB 

 LTOは,複数のドライブを1体の筐体に搭載するテープ・ライブラリでは主流の規格である。その最新版であるUltrium 4のテープ装置のカタログを見ると,非圧縮で800GB,圧縮すると1.6TBの容量のデータをテープ1本に格納できるとある。つまり圧縮率は2倍。

 しかし,この2倍という圧縮率を前提にテープ装置のサイズを考えてはいけない。すべてのデータを2倍の圧縮率で圧縮できるわけではないのだ。ファイルのタイプによって,2倍以上の圧縮がかかるデータから全く圧縮されないものまである。一般的には,1.2~1.5倍くらいの圧縮率になるという人もいる。どの程度の圧縮率になるのかは,やってみなければ分からない。やってみなければ分からない以上,サイジングは非圧縮を前提に考えるのがセオリーである。

 「非圧縮で考えるのだったら,そもそも圧縮機能などなくてもよいではないか」と思うのは早計。まず,容量に余裕ができる。メールなど日によってデータ容量が大きく上下するシステムの場合,容量が想定以上に増えてしまったとしても,1本で収まる余地がある。また,データ圧縮処理は専用のハードウエアで行うので,非圧縮のデータに比べてさほど遅延が起こるわけではない。同じ転送レートでより多くのデータをテープに格納できるため,性能面での向上を期待できるというメリットもあるのだ。


■変更履歴
表1の記憶容量に間違いがありました。「LTO 2 320GB(非圧縮)640GB(圧縮),LTO 3 640GB(非圧縮)1.26TB(圧縮)」と記述していましたが,正しくは「LTO 2 200GB(非圧縮)400GB(圧縮),LTO 3 400GB(非圧縮)800GB(圧縮)」です。お詫びして訂正します。表1は修正済みです。 [2008/1/21]