データのバックアップやアーカイブに使われるテープ・カートリッジは,湿気に対して非常に弱いといわれる。テープが湿ると,二つの問題が出てくる。

 一つは,テープ自体の劣化だ。データを記録する力が弱まるだけでなく,カビが生えたり,ホコリがこびりついたりすれば,当然,読み込みにも支障が出てくる。

 もう一つは,磁気ヘッドとの間で起こる摩擦。カートリッジ内部に入り込んだホコリが水分と溶け合うとのりのようになる。その状態でテープ・ドライブにセットすると,ドライブの磁気ヘッドとテープがくっついてしまう。さらに,その状態でテープを走行させると,テープがグチャグチャになる。この現象が夜間バッチのバックアップの最中に起きたのなら,別の正常なテープとテープ・ドライブを手配してやり直しとなる。重要なデータをリストアしている最中にこの現象が起こってしまったら致命的だろう。

 テープ・カートリッジを不用意に濡らしてはいけないのは当然だが,夏場の空調も要注意である。冷やした部屋の空調を切って窓を開けると,温度と湿度が急に上がる。すると,テープ・カートリッジ内部で結露が発生する。逆に冬場でも,湿度の高い部屋で暖房をつけると結露が発生することがある。

 カタログ・スペックには30年間の長期保存をうたうものもあるが,これはあくまでも保存状態が良好な場合(図1)。読み書きを繰り返したり,保存状態がよくなかったりすると,1年も持たないことがあるようだ。テープは熱にも弱いといわれる。暑い場所にさらしておくと,テープが伸びてしまうのだ。無造作にしまってあるだけのテープ・カートリッジの寿命は,思いのほか短いと認識しておこう。

図1●デルが公開しているイメーション製テープ・カートリッジの取り扱いについての注意書き
図1●デルが公開しているイメーション製テープ・カートリッジの取り扱いについての注意書き
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