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ITエンジニアの「やってはいけない」

[記録メディア編]濡れたディスクを乾かしてはいけない

尾崎 憲和=ITpro 2008/01/16 日経SYSTEMS

 めったにあることではないが,洪水や津波,高潮によってHDDが水没してしまったときのアンチ・パターンである。洪水が引いた後であれば,サーバーやパソコンは泥だらけになっているだろう。津波や高潮の後だと,海水に含まれる塩分で汚れているかもしれない。不用意に電源を入れるのもためらわれるはず。

 そんなときでも,すぐにあきらめる必要はない。データ復旧会社に依頼すれば,HDDの修理は不可能だとしても,そこに保存されているデータだけは復旧できる可能性がある。ただし,応急処置のやり方を間違えると,データは一気に復旧できなくなる。濡れてしまったディスクを乾かしてはいけないのである。

 HDDに保存されているデータは水に濡れただけでは,そう壊れるものではない。データの読み取りを困難にするのは,川や海の水に含まれる泥やミネラルなのだ。これがプラッタ(円盤)にこびりついて,磁気ヘッドでデータを読み取ることができなくなるのである。水分が残っているうちは,純水や薬品などを使って洗浄すれば泥もミネラルも水と一緒に洗い流すことができるが,乾いてこびりついてしまうと,洗浄してもなかなか落ちない。

 従って,万一水没させてしまったら,HDDを取り外し,濡れたきれいなタオルでHDDをくるむとよい。その状態のまま,データ復旧会社に持ち込むのだ。ただし,データ復旧会社にもいろいろある。物理的に損傷したHDDからデータを復旧するには,プラッタ表面の研磨,軸受けや磁気ヘッドの交換,磁気ヘッド位置情報の補正など,職人技ともいえる独自の技術が必要になる。すべてのデータ復旧会社がそのような技術を持っているわけではない。洪水で泥だらけになったHDDの復旧を依頼しようとしたら,何社ものデータ復旧会社から「ウチでは無理」と断られ,ようやく見つけた復旧会社でデータの復旧に成功したケースもある。

 なお,HDDが水没するのは,水害のときだけではない。火災でスプリンクラーが作動して,ビショビショになることもある。水道水にもミネラル分は含まれているので,そういうときも同じように対処しておくとよい。


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