ソフトバンク・グループは2008年1月から,法人ユーザー向けに携帯電話のカスタマイズ・サービス「Bizフェイス」を開始する。端末のメニュー画面などがカスタマイズ可能になり,業務システムなどに携帯からアクセスしやすくなる。企業ユーザー自らがカスタマイズできる仕組みを用意している点も特徴だ。

 ソフトバンク・グループの「Bizフェイス」は,携帯電話に企業専用のメニュー画面を登録したり,任意のボタン機能を割り当てたりできるサービスだ。携帯電話を端末として使う業務システムが増えてきたが,携帯のメニューを何階層もたどらなければアクセスできないなど,使い勝手は良くないことが多い。「待ち受け画面やボタンから一発で社内システムにアクセスできれば,操作性は格段に向上する」(ソフトバンクモバイル 法人マーケティング統括部プロダクトマーケティング部の國枝良ソリューション開発課長)。

 これまでもBREWやJavaなどで独自にアプリを開発すれば携帯のメニューの変更は可能だった。しかし開発に手間がかかるため,実際に導入する企業は少なかった。Bizフェイスは,ASP(application service provider)の形で企業ユーザー自身が手軽に携帯のユーザー・インタフェースをカスタマイズできるようにしたのが特徴だ。

ブログのデザイン変更の感覚で設定

 具体的には,ASPサーバー上で企業のシステム管理者自らが,テンプレートを基にメニュー画面やボタン割り当てをカスタマイズし,Javaアプリを作成。それを社員が使う携帯電話の待ち受け画面に登録することで,企業専用のインタフェースを実現する(図1)。カスタマイズできる機能は,(1)最大4カ所のリンク先登録,(2)会社ロゴなどの画像表示,(3)「Y!」ボタンや「メール」ボタンへの任意の機能のアサイン,(4)テロップ形式の情報配信など。ブログのデザインを変えるような感覚で設定が済むため,導入のハードルは低い。

図1●携帯電話のユーザー・インタフェースを企業専用にカスタマイズできる「Bizフェイス」
図1●携帯電話のユーザー・インタフェースを企業専用にカスタマイズできる「Bizフェイス」
ASPサーバー上で企業のシステム管理者が携帯電話のインタフェースをカスタマイズ。カスタマイズしたインタフェースをJavaアプリとして保存し,社員の端末の待ち受け画面に登録することで,企業専用の端末を実現する。ASPサーバーはソフトバンク・グループのソフトバンク・テクノロジーが提供する。

 カスタマイズ済みの端末は,管理者が遠隔地から設定変更できるようになる。管理者はメッセージ内にコマンドを記述したSMS(short message service)を端末に送信。受け取った端末はコマンドを解釈し,自動的に変更部分をダウンロードする。

 利用料金は,1社当たりの初期費用が10万円,管理システムの利用料が月額5万円,携帯電話1台当たり月額200円から500円となる見込み。当初は812SHや813SHなどシャープ製端末から対応する。動作確認が取れ次第,他社製端末にも対応する予定だ。

 同社によると,Bizフェイスは既に1000台規模でテスト・マーケティング中。「反応は予想以上。業種や規模によらず引き合いがある」と,國枝課長は語る。同社としてはBizフェイスを,音声準定額プラン「ホワイトプラン」と並ぶ,法人向けの基本ソリューションとしたい考え。「法人新規契約の3割に対して,Bizフェイス導入を狙っていく」(同社法人マーケティング統括部プロダクトマーケティング部の藤田智弥リサーチ&コミュニケーション課長)という。