Q: センスのない技術者が足を引っ張ります。見切りのタイミングはどこでしょうか?

 個人的には,ソフトウエアの開発には個人の資質,センスが必要だと思っております。立場上,社員の育成を行わなければならないのは分かっております。しかし一方で,センスのない技術者はプロジェクトの足を引っ張ります。

 技術者の成長がないことを,自身の指導の仕方に問題があると思い,いろいろと手を変え知恵を絞っておりますが,何の効果もありません。見切りのタイミングはどこなのでしょうか?それとも見切ってはいけないのでしょうか???
(プロジェクト・マネジャー/男性・34歳)

A: センスだけでなく「まじめさ」も考慮して,適切な作業をアサインせよ

 私もソフトウエア開発には個人のセンスがかなり影響すると思います。従って,センスのないSEに,センスが必要な仕事をさせるのは無理があると思います。

 問題は,プロジェクトやそれに使われる技術によって,必要なセンスが異なることではないでしょうか。

 言われたことをただこなすだけの仕事(つまりセンスが必要ではない仕事)で問題があるのであれば,それはセンスの問題ではなく,要領の問題でしょう。世の中には「要領の良い人」がいて,そのような人はどんな仕事をしても最初はうまくいくものです。

 しかし,最初は要領の悪い人のほうが,コツコツと経験を積み重ねていって,長い目でみると大事な人材になる場合もあります。この場合,「まじめさ」あるいは「コツコツ力」がその人の資質なのかもしれません。

 従って,「見切り」を考える場合,センスだけではなく,「まじめさ」も考慮する必要があるでしょう。

 センスもまじめさもない人材は,早々に見切りをつけるべきです。早い方がよいでしょうが,この判断にはそれなりに時間がかかるのですから,現実的には開発当初で見切りをつけて,早急にバックアップ体制を整える必要があります。

 センスはないが,まじめな人材は,簡単に見切りをつけるのではなく,適性を考えてあげましょう。現在のプロジェクトの中でも,彼・彼女に向いている作業があるかもしれません。

 センスはあるが,まじめさのない人材は,プロジェクトが長期にわたる場合には,要注意です。途中で飽きて,生産性が低下する可能性があるからです。

 下図にその分類を描きましたので,ご自分で軸の判断基準を作り,指標化していくといいかもしれません。その場合,プロジェクトの長さや技術の新規性などを十分に考慮すべきです。

図1●センスとまじめさによる分類
図1●センスとまじめさによる分類