MACアドレスは枯渇しないの?

(イラスト・アニメーション:岸本ムサシ)

  今回の回答者:
岩崎 有平
アンリツ IPネットワーク事業推進部
副事業推進部長

 IPアドレスは,現状のIPv4のままでは近い将来,数が足りなくなるといわれています。そのため,IPv6への切り替えの準備が進められているのは,みなさんもご存知でしょう。

 では,MACアドレスは足りなくならないのかというのが今回の質問です。MACアドレスは個々のネットワーク製品に出荷時に割り当てられています。最近はパソコンや周辺機器だけでなく家電製品などもネットワークにつながるようになったので,MACアドレスを振られる機器はどんどん増えています。

 しかし,今のところMACアドレスに枯渇問題はありません。まだまだたくさんあるからです。

 MACアドレスは2桁の16進数を六つ並べた「xx-xx-xx-xx-xx-xx」という形式で表します。実際は48ビットの数字列,つまり0と1が48個並んだものです。このうち最初の2ビットは識別コードとして使うので,アドレス用途として使えるのは46ビット分です。この46ビットで表現できるアドレスの数はというと,2の46乗分で70兆個以上になります。IPv4のIPアドレスは32ビットで約43億個ですから,これと比較しても1万6000倍になります。

 現時点でMACアドレスがいくつ使われているかはわかりません。ただ,あと10分の1しか残っていないと仮定しても7兆個。現在のパソコンや携帯電話,家電の出荷台数から推定すると,今後数千年は持ちそうです。

 仮に,MACアドレスが足りなくなったとしても,対策はあると思います。MACアドレスは世界中で重複しないように設定されていますが,本来はデータリンク層のネットワーク,つまりルーターで区切られた範囲内で重複しなければ問題ありません。この点を考慮し,ルーターで区切られた範囲内で使う機器に同じMACアドレスを割り振らないようにさえすれば,使い回せるでしょう。