1位 社内のPC700台からMS Officeを削除したアシスト「OpenOffice.org移行の障害はこう解決」
2位 GoogleがWord,Excel,PowerPoint互換のStarSuiteを日本語版も含め無料配布
3位 「Microsoft ProjectとExcelからユーザーを解放したい」---OSSプロジェクト管理ツール
4位 Perl,Ruby,PHP,JavaScriptなど軽量言語十数種が一堂に会したイベント「LL魂」開催
5位 「MySQL,PostgreSQLとFirebirdの性能をユーザー会メンバーが徹底比較,判明した"意外な結果”」
6位 RHEL5互換のCentOS 5が公開,構成の違いが明らかに
7位 Fedora 7の正式版が登場,カーネル2.6.21を搭載
8位 3DデスクトップをサポートしたCD/DVD起動Linux新版「KNOPPIX5.1.1 日本版」,産総研が公開
9位 Fedora 7にはLive CD版も用意,デスクトップ画面からのインストールも可能に
10位 米SCOが敗訴,「UNIXの著作権は米Novellが保有
11位 ライフハックの人気手法をチームで実践できるフリーソフト「tugboat.GTD」
12位 【日本Ruby会議2007】“爆発的拡大期”のRuby,テーマは「エンタープライズ」と「愛」
13位 KNOPPIXの新種「VMKNOPPIX」が登場,仮想化ソフトのVirtualBoxが利用可能に
14位 東大教授 竹内郁雄氏が「恐るべき未成年」と絶賛する18歳の最年少天才プログラマ
15位 VMKNOPPIXの新版登場,ネットに公開されているISOイメージから直接OSの起動が可能に
16位 Linuxディストリビューション「Fedora 8」が公開
17位 RHEL5互換のCentOS 5,ベータ版が登場
18位 URLを入力するだけでHTMLをPDFに変換する無償サービス,Web APIも公開
19位 Linuxディストリビューション「Ubuntu 7.10」,早くも日本語版が登場
20位 独InnoTekの仮想マシン・ソフトVirtualBox,オープンソース版を公開

 2007年,オープンソース/Linux分野で最も注目された話題は何だったのか。2007年のニュースの年間ランキングを集計した。1位と2位には,くしくも同じソフトウエアに関連するニュースが並んだ。

OpenOffice.orgが企業に

  アシストでのOpenOffice.org利用の様子
  アシストでのOpenOffice.org利用の様子

 1位はアシストがMicrosoft Officeを削除し,OpenOffice.orgに移行したニュース。2位はGoogleがStarSuiteを日本語版も含め無料配布を開始したニュースである。

 OpenOffice.orgは米Sun Microsystemsが開発し,オープンソース・ソフトウエアとして公開したオフィス・ソフトウエアである。Microsoft Officeのファイルを読み書きすることができる。StarSuiteはSunが販売するその商用版だ。

 アシストは2007年1月に社内の標準オフィス・ソフトをMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへ移行。同社が販売するソフトウエア製品の検証やサポートに必要なパソコンを除く社内の約700台からMicrosoft Officeを削除した。この移行はビル・トッテン社長の主導のもとで行われたという。

 8月には,GoogleがStarSuiteの無償配布を開始した。GoogleはSunと提携関係にあるとともに,Webブラウザ上で使用できるワープロと表計算のサービスであるGoogle Docsを提供している。Google DocsとStarSuiteを連携させる計画があるのではという観測もある。

盛り上がるRubyなどの軽量言語

 OpenOffice.orgに次いで注目を集めたのは,Rubyを筆頭としたPerl,PHPなどの軽量言語(Light weight Language,スクリプト言語)だ。4位には軽量言語のイベント「LL魂」のレポートが,12位には「日本Ruby会議2007」のレポートがランクインした。ニュース以外に,軽量言語に関連する解説記事も多数読まれた。

 ここへ来て軽量言語が盛り上がりを見せている理由は,Webシステムの開発に要求されるスピードがどんどん上がっているからだ。CやJavaなどに比べスピーディにプログラムを書ける軽量言語は,Ruby on Railsなどのフレームワークの進化と相まって,システム開発の主流のひとつになってきている。

新しい仮想化ソフト

 仮想化も重要なトピックだった。オープンソースの仮想化ソフトとしてはXenがあったが,2007年には新たにVirtualBoxやKVM(Kernel-based Virtual Machine)が登場した。

 仮想実行環境上でネットに公開されているISOイメージから直接OSの起動を可能にするなど,日本からの研究開発の成果もあった。

ライフハック系OSS

 オープンソースのアプリケーションも増えてきたが,2007年に人気を集めたのは,仕事の効率を上げる,いわゆるライフハック系のソフトだ。3位にはプロジェクト管理ツール「Project Keeper」無償公開」,11位にはGTDと呼ばれるライフハックの人気手法をチームで実践できる「tugboat.GTD」の記事がランクインした。

人気ディストリビューションは?

 2007年に人気のあったLinuxディストリビューションは何だったろうか。それを探るのに最適なのがOSS/Linuxテーマの隠れた人気シリーズ「画面で見る最新Linux」と「インストール完全ガイド」のランキングだ。各10位までを下の図に示した。

「画面で見る最新Linux」と「インストール完全ガイド」のランキング

 FedoraやVine,KNOPPIXなどは以前からの人気ディストリビューションだが,2007年に目を引いたのはUbuntuとCentOSの上昇ぶりだ。UbuntuはデスクトップOSとしての使いやすさ,CentOSはRed Hat Enterprise Linuxとの互換性が人気の理由だ。

 ディストリビューションに関するニュースも,6位や7位,8位など多数ランクインした。