2007年,オープンソース/Linux分野で最も注目された話題は何だったのか。2007年のニュースの年間ランキングを集計した。1位と2位には,くしくも同じソフトウエアに関連するニュースが並んだ。
OpenOffice.orgが企業に
アシストでのOpenOffice.org利用の様子 |
1位はアシストがMicrosoft Officeを削除し,OpenOffice.orgに移行したニュース。2位はGoogleがStarSuiteを日本語版も含め無料配布を開始したニュースである。
OpenOffice.orgは米Sun Microsystemsが開発し,オープンソース・ソフトウエアとして公開したオフィス・ソフトウエアである。Microsoft Officeのファイルを読み書きすることができる。StarSuiteはSunが販売するその商用版だ。
アシストは2007年1月に社内の標準オフィス・ソフトをMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへ移行。同社が販売するソフトウエア製品の検証やサポートに必要なパソコンを除く社内の約700台からMicrosoft Officeを削除した。この移行はビル・トッテン社長の主導のもとで行われたという。
8月には,GoogleがStarSuiteの無償配布を開始した。GoogleはSunと提携関係にあるとともに,Webブラウザ上で使用できるワープロと表計算のサービスであるGoogle Docsを提供している。Google DocsとStarSuiteを連携させる計画があるのではという観測もある。
盛り上がるRubyなどの軽量言語
OpenOffice.orgに次いで注目を集めたのは,Rubyを筆頭としたPerl,PHPなどの軽量言語(Light weight Language,スクリプト言語)だ。4位には軽量言語のイベント「LL魂」のレポートが,12位には「日本Ruby会議2007」のレポートがランクインした。ニュース以外に,軽量言語に関連する解説記事も多数読まれた。
ここへ来て軽量言語が盛り上がりを見せている理由は,Webシステムの開発に要求されるスピードがどんどん上がっているからだ。CやJavaなどに比べスピーディにプログラムを書ける軽量言語は,Ruby on Railsなどのフレームワークの進化と相まって,システム開発の主流のひとつになってきている。
新しい仮想化ソフト
仮想化も重要なトピックだった。オープンソースの仮想化ソフトとしてはXenがあったが,2007年には新たにVirtualBoxやKVM(Kernel-based Virtual Machine)が登場した。
仮想実行環境上でネットに公開されているISOイメージから直接OSの起動を可能にするなど,日本からの研究開発の成果もあった。
ライフハック系OSS
オープンソースのアプリケーションも増えてきたが,2007年に人気を集めたのは,仕事の効率を上げる,いわゆるライフハック系のソフトだ。3位にはプロジェクト管理ツール「Project Keeper」無償公開」,11位にはGTDと呼ばれるライフハックの人気手法をチームで実践できる「tugboat.GTD」の記事がランクインした。
人気ディストリビューションは?
2007年に人気のあったLinuxディストリビューションは何だったろうか。それを探るのに最適なのがOSS/Linuxテーマの隠れた人気シリーズ「画面で見る最新Linux」と「インストール完全ガイド」のランキングだ。各10位までを下の図に示した。
FedoraやVine,KNOPPIXなどは以前からの人気ディストリビューションだが,2007年に目を引いたのはUbuntuとCentOSの上昇ぶりだ。UbuntuはデスクトップOSとしての使いやすさ,CentOSはRed Hat Enterprise Linuxとの互換性が人気の理由だ。
ディストリビューションに関するニュースも,6位や7位,8位など多数ランクインした。