まず小節の設定を無視して拍を打ち込み，それぞれの拍に対して「お」「つ」「か」「れ」のように言葉を入力した。その後キーボードでだいたいその言葉と結びつきそうな音階を探し，割り当てる。その後音を伸ばすべき部分や，音と音とのつなぎの部分をピッチベントで調整し，最後にアクセントの強弱を与えた（図1）。
図1：言葉に音階を付けてみた
再生してみたところ，想像していた以上に喋っているようには聞こえたが，人間のようにとはいかなかった。短い音のつながり部分が不自然に聞こえてしまう。メロディに乗ってのびのびと歌うほうが向いているようだ。
歌より難しい
仕上がりを聴いて筆者は，当時アイドルだった小川範子が主役の「No-Ri-Ko」というPCエンジン用ゲームソフトを思い出した。アドベンチャーゲーム形式で，全工程をクリアした後，登録したプレーヤー名を彼女の声色で呼んでくれる。入力した言葉を読み上げるおしゃべりモードもあったと記憶する。音階固定の一本調子ながら，当時は感動したものだ。それに比べて調子が付けられるだけでも「喋った」ことにしてよさそうなVOCALOID2だが，そう簡単になめらかなしゃべりは筆者の未熟な技術では実現できそうになかった。まだまだ修行が足りないようである。
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今度は演歌も
VOCALOID2のラインナップはまだ増える予定である。初音ミクの開発・販売元であるクリプトン・フューチャー・メディアは2007年12月27日に，VOCALOID2シリーズ新メンバーの「鏡音（かがみね）リン・レン」を発売する予定だ。リンが女性でレンが男性という設定で，声優の下田麻美が両者を演じ分けている。2種類の声色が1パッケージで市場予想価格1万5750円前後と，お得感もある。VOCALOID Editorそのものの変更点はないとのことなので，初音ミクと同じように操作できる。得意ジャンルはロック系ポップスや歌謡曲，演歌系ポップスなど幅広い。コブシを回すといった離れ技も設定次第では楽しめそうだ。
営利目的での無断利用はNG
初音ミクに関するコンテンツは有償提供版も登場した。M_ika氏による「みくみくにしてあげる♪」【してやんよ】やヤスオ氏による「えれくとりっく・えんじぇぅ」をはじめ，ネット上で人気の高い楽曲が「着うた/着うたフル」形式で携帯電話向けに有償配信されている。ところでこの「初音ミクの持ち歌」だが，一般ユーザーがオリジナル曲を作って販売することは可能なのだろうか？ この件についてクリプトン・フューチャー・メディアに確認したところ，「初音ミクの名前や，キャラクター・イメージを使用して楽曲を販売する際には，クリプトン・フューチャー・メディアの許諾が必要」との回答があった。例えば，アーチストとして「feat.初音ミク」などとクレジットした楽曲や，ジャケットに初音ミクのイラストを使用したCDなどを販売するには，同社の許諾を受ける必要があるという。「許諾が必要かどうかが不安なときにはクリプトン・フューチャー・メディアに問い合わせてほしい」（同社）とのことだ。
前述したドワンゴによる有償配信コンテンツは「然るべき契約を経ているコンテンツ」とのこと。バーチャルな存在ながらしっかりマネジメントされている初音ミク。今後の活躍からも目が離せない。
初音ミクを試してみる
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