リコーテクノシステムズが、特許情報の画像を高速検索できるシステムを開発。2008年1月からサービスを開始する。パートナー企業とも積極的に協業し、知財ソリューション事業を盛り上げていく考えだ。

表●リコーテクノシステムズの特許情報検索サービス「RIPWAY」の概要
表●リコーテクノシステムズの特許情報検索サービス「RIPWAY」の概要

 「知的財産のマネジメントに関心を持つユーザー企業が増えてきた」。リコーテクノシステムズの岩城隆恒NS事業本部SI事業部RIPWAYプロジェクトリーダーは言い切る。ブランドや技術/ノウハウといった知的財産は、企業競争力向上の源泉。こうした点に目を付け、国内では知的財産ソリューションを提供するベンダーが約30社ほどある。リコーテクノシステムズはその1社だ。

 同社は知財ソリューションの柱として既に特許情報検索システム「RIPWAY(リップウェイ)」を手掛けている。2008年1月からは強化版「RIPWAY Version3」を提供する()。

 RIPWAY自体は、ユーザーが自分のパソコンから使える、いわばSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の形態を取るサービス。日本と米国で公開されている約1400万件の特許情報を検索できる(図1)。検索エンジン「TRMeister」はリコーが開発。米国の特許情報は、沖電気工業の機械翻訳技術を活用し、日本語化している。必要とする内容を、日本語と英語のどちらの文章で入力しても検索することが可能だ。



図1●RIPWAYを使えば日米1400万件の特許公報の内容を検索できる
図1●RIPWAYを使えば日米1400万件の特許公報の内容を検索できる

 RIPWAY Version3は、これに新たな機能を加えたもので、最大の特徴は画像データで検索できるようにしたことだ。例えば特許情報の図面や化学式など、類似画像を持った特許情報が他にないかなどを抽出できるようになる(図2)。「画像データそのものの形状パターンに基づいて、類似性の高い順番に結果を表示する」と、検索エンジンのTRMeisterを開発したリコーの伊東秀夫ソフトウェア研究開発本部ドキュメント研究所主幹研究員は話す。

図2●「RIPWAY Version3」の検索画面(左)。右は「ロボット」のキーワードで画像検索した結果を一覧表示したもの
図2●「RIPWAY Version3」の検索画面(左)。右は「ロボット」のキーワードで画像検索した結果を一覧表示したもの
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 従来のRIPWAYでは「質問文章」や「キーワード」などによる検索だけだった。それが図面や化学式で検索できるようになれば、業務効率は格段に高まるし、研究開発力の向上にもつながるだろう。「ユーザー企業の担当者は、新たな技術/製品発明のヒントを得やすくなる」と、岩城リーダーは強調する。

 検索対象は1983年以降に発行された国内特許公報と、1979年以降の米国特許公報。特許公報データの更新は日本版が毎週、米国版が隔週である。これら特許情報のうち画像データは約5000万点以上あるという。「膨大な画像データを約3秒で検索できるなど、高速性も重視した」(伊東主幹研究員)。

販売目標は1年間で500社

 この類似画像検索機能は「RIPWAY IMAGE SEARCH」の名称で、基本サービスのオプションとして提供。基本サービスは1ID当たり月額1万5000円に対し、RIPWAY IMAGE SEARCHは月額10万円(1ID当たり)かかる。

 リコーテクノシステムズが掲げるRIPWAY Version3の販売目標は、1年間で500社。2004年12月に提供開始したRIPWAYの既存ユーザー企業数が200社であることから考えると、強気な数字だ。しかし「昨今の知財への関心の高さを考えると、そう難しくはない」と岩城リーダーは言う。

 今後リコーテクノシステムズは、パートナーと協業し、知財ソリューション事業を盛り上げていく。文書管理システムと組み合わせるなど、「知財文書管理システムの構築事業に興味を抱くベンダー数社から、ユーザー企業開拓の取っ掛かりとしてRIPWAYの販売パートナーになりたいとの打診が来ている」と、岩城リーダーは早くも手応えを感じている。