ウイルス検出率とパフォーマンスが重要なのはもちろんだが、製品を選択する際には、「機能」と「サポート」にも注目しよう。例えば、今回取り上げた無料版のavast!とAVG Anti-Virusにはウイルス対策の機能しかない。そのほかのセキュリティ対策も1つの製品で済ませたい場合は、統合型製品を選択する必要がある。今回取り上げたこれら以外の製品は統合型製品。なおAVG Anti-Virusについては、有料の統合型製品も用意されている。

 統合型製品が備える代表的な機能の一つがパーソナルファイアウオール(図1)。Windows XPやVistaには標準で「Windows ファイアウォール」が搭載されているが、統合型製品のファイアウオールでは、より細かな設定が可能。また、頻繁に警告を出さないようにしていることも最近の製品の特徴だ。信頼できるアプリケーションについてはあらかじめ登録されていて、いちいちユーザーに尋ねることなく通信を許可する製品が多い。

ファイアウオールで守りを固める
図1●ファイアウオールで守りを固める
今回取り上げた製品のほとんどは、パーソナルファイアウオール機能を備える。いずれの製品でも、特定のアプリケーションの通信を遮断するような細かな設定が可能だが、ほとんどの製品は初期設定のままで問題なく利用できる。左はカスペルスキー インターネット セキュリティ 7.0、右はマカフィー・インターネットセキュリティスイートのファイアウオール設定画面。
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 フィッシング詐欺対策機能を持つ製品も増えている(図2)。Webブラウザーと連携して、フィッシング詐欺サイトとして登録されているWebサイトへアクセスした場合に警告を表示する。

詐欺サイトへのアクセスをブロック
図2●詐欺サイトへのアクセスをブロック
今回取り上げた製品中5製品には、フィッシング詐欺サイトへのアクセスをリアルタイムで遮断する機能がある。これらの対策ソフトは、Webサイトにアクセスする前に、そのURLを各ベンダーが運用するデータベースサーバーへ問い合わせる。詐欺サイトとして登録されている場合にはアクセスをブロックして、警告ページを表示する。左はノートン・インターネットセキュリティ 2008、右はキングソフト インターネットセキュリティフリーによる警告ページ。
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 迷惑メール対策機能も統合型製品の一般的な機能の一つ。メールの内容や送信元などから総合的に判断し、迷惑メールと思われるメールを特定フォルダーに振り分けたり、メールの件名に「spam」といった文字列を追加したりする。同機能はフィッシング詐欺対策としても使える(図3)。フィッシング詐欺サイトへ誘導するような偽メールも迷惑メールとして検出するからだ。

迷惑メール対策機能で詐欺メールを検出
図3●迷惑メール対策機能で詐欺メールを検出
迷惑メール対策機能を備える製品のほとんどは、商品やサービスを宣伝する広告メールだけではなく、フィッシング詐欺目的の偽メールも迷惑メールとして検出する。左はウイルスセキュリティZERO、右はウイルスバスター2008の設定画面。
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 ただし、ウイルス対策機能と同じように、詐欺対策機能についても過信は禁物。編集部でいくつかの製品を試したところ、既に報告されている詐欺サイトにアクセスしても、警告を出さないことが何度かあった。

 そのほか、トレンドマイクロやマカフィーの製品には、検索結果に表示された危険なサイト(リンク)を警告する機能もある(図4)。

危険な検索結果を警告
図4●危険な検索結果を警告
ウイルスバスター2008とマカフィー・インターネットセキュリティスイートには、Googleなどの検索結果に含まれる危険なサイトを警告する「Trendプロテクト」と「サイトアドバイザ」がそれぞれ同こんされている。いずれもWebブラウザーのブラグインとして動作。ウイルスなどが置かれているサイトや、メールアドレスを登録すると迷惑メールを送ってくるようなサイトには、警告マークを表示する。対応ブラウザーは、サイトアドバイザがIEとFirefox、TrendプロテクトはIEのみ。
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