日本語版のウイルス対策ソフト(セキュリティ対策ソフト)が、多数市場に出ている。ほとんどが有料の製品だが、最近では、製品価格や更新料が無料の対策ソフトも増えている(図1)。

 例えば、ALWILソフトウエア(チェコ)の「avast! 4 Home Edition」。海外ベンダーの製品だが、以前から日本語版が存在するため国内でもユーザー数が多い。グリソフト(チェコ)の製品で、コージェンメディアが2007年8月に日本語版の提供を開始した「AVG Anti-Virus Free Edition」も無料で利用できる。

 ウイルス検出時などに広告を表示することで無料提供を実現するソフトもある。2007年7月から提供されている「キングソフト インターネットセキュリティフリー」だ。

「完全無料」の対策ソフトが続々
図1●「完全無料」の対策ソフトが続々
製品価格や更新料が無料のウイルス対策ソフト(セキュリティ対策ソフト)が増えている。キングソフトは2007年7月、広告が表示される代わりに無料で利用できる「キングソフト インターネットセキュリティフリー」を提供開始。コージェンメディアは2007年8月、チェコのグリソフトが開発した「AVG Anti-Virus Free Edition」の日本語版の提供を始めた。

実感できない性能を検証

 ウイルス対策ソフトは、基本的にはバックグラウンドで動作する。このため、ユーザーがその性能を実感することはまれ。インストールはしたものの、「ウイルスをきちんと駆除してくれるのだろうか」といった不安を感じているユーザーは少なくないだろう。

 特に、前述の「完全無料」の対策ソフトについては、その不安は小さくないだろう。そこで今回、国内のセキュリティ研究者の協力を得て、個人ユーザー向け対策製品のウイルス検出率を調べた。

 対象製品は、国内でシェアが高いベンダー5社の主力製品と、前述した「完全無料」の対策ソフト3製品(図2)。このうち、avast! 4 Home EditionとAVG Anti-Virus Free Editionはウイルス対策機能のみを備える単機能ソフト。これら以外の製品は、パーソナルファイアウオールなども備える統合型ソフトだ。

 これら8製品に対して編集部では、パフォーマンスに関するテストも実施した。具体的には、「対策ソフトを常駐させることで、同じパソコン上で動作するアプリケーションのパフォーマンスがどの程度低下するか」を独自のテスト方法で調べた。

 次回以降、それぞれのテスト結果を解説するとともに、検出率とパフォーマンス以外の、製品選びのポイントについても紹介する。

今回取り上げるウイルス対策ソフト
図2●今回取り上げるウイルス対策ソフト
*1「ウイルスセキュリティZERO」以外は、有効期限が1年の製品価格 *2 2007年10月時点の、各社オンラインストアなどにおける販売価格 *3 ダウンロード版のみ *4 更新料不要 *5 本稿執筆時点では開発途上のため、ベータ版で検証した *6 いずれも税別
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