ブログ・サービスの走りである米ブロガーに続き、新たな「リアル・コミュニケーション・プラットフォーム」を提供する米ツイッターを創業。エヴァン・ウイリアムス氏はネットで2度成功した。ツイッターについて、同氏は機能をそぎ落としたことが成功につながったと分析する。(聞き手は中村 建助=日経コンピュータ)

ツイッターについて「リアルコミュニケーション・プラットフォーム」と説明している。ブログやインスタント・メッセンジャーなど、他のコミュニケーション・プラットフォームとの違いはどこにあるのか。

 ツイッターとブログの構造自体はよく似ている。「リアルタイム」ということに特化しているかどうかがその差だろう。必ずそう使わなければならないものではないが、ツイッターはリアルタイムでやり取りするときに本領を発揮する。

米ツイッター共同創業者 エヴァン・ウイリアムス氏
米ツイッター共同創業者 エヴァン・ウイリアムス氏

 仕様も1度に140文字までしか入力できない。SMS(ショート・メッセージ・サービス)の代わりとして使うこともできるが、何のために利用するかを変えるのだ。長文を書けないので、ツイッターは素早く使うことになる。これも他のブログとは異なる点だ。こういった特徴が使い方を具体化する。「今、何してる」と書き込んでも常に答えが書き込まれるわけではないが、その時々を共有することが可能になる。

 ほとんど同じように動くが、インスタント・メッセンジャーとも異なる。サブスクライブ形式でよりブログに近い。インスタント・メッセンジャーは1対1で使うことが多いが、ツイッターは多人数に向けて書ける。ちょっとした差のように見えるが、こういった違いが組み合わさって生まれたのがツイッターだ。

機能をそぎ落としたことでだれにでも分かりやすくなった

似たようなサービスはあったが、これまでツイッターと同じサービスが誕生しなかった。

 多かれ少なかれ成功したプロダクツに明確に共通するのはすでに存在しているものの要素を持っていることだ。技術というものには新たな何を付け加えることで改善しようとしがちだ。さまざまな新機能の登場だ。ブログはどんどん複雑になってきた。

 だけどツイッターは、ブログに似てはいるけど、そこからいろいろなものを取り去ったプラットフォームといえる。タイトルもコメントもトラックバックもないし、フォーマッティングもできない。画像も動画もない。ほとんどの人が使ってもいないSMSの要素を加えただけだ。

 最初はどう使えばいいか分からなかった人も多かった。ツイッターを見て、「どうすればうまくブログすることができるんですか?何か新しいことができますか?何を加えればいいんですか」と良く聞かれた。でも本当に興味深いものの多くは、あるものを見て何か新しいものを加えて良くしようとしたときよりも、「何を取り去ることができるか」を問いかけたときのほうがよいものができる。

 米グーグルでさえ、それ以前に人気のあったWebサイトから引き算していた。グーグルの前に人気のあったポータル・サイトはすべてを持とうとしていた。そして新たな機能を加え続けた。グーグルはYahoo!から検索以外の機能をそぎ落としたといえる。確かに現在では、グーグルもいろいろな機能を付け加えているけれど、興味深い例だ。

ブログの将来についてどう考えるか。

 ブログは何年も進化し成長し続けている。ブログなのかそうでないのか、ブログをどう定義するかから考える必要があるのかもしれない。