米カーネギーメロン大学の出した「An Inquiry into the Nature and Causes of the Wealth of Internet Miscreants」(インターネット犯罪者の富の性質および諸原因に関する一研究:インターネット犯罪の国富論)という論文が興味深いので紹介しよう。

 この論文は,インターネット上で繰り広げられる犯罪の支援活動を“商売”にしている大規模な違法市場を,中心テーマとして取り上げた。主な目的は,このようなブラック・マーケットの仕組みを理解してよく調べ,多種多様な人物が市場に誘われる要因を議論することである。7カ月以上かけて1300万件を超えるメッセージから集めたデータを解析することで,市場参加者や,宣伝されている商品およびサービス,興味をそそる特選商品の提示価格を分類できた。

 極めて優れた内容の論文である。

 ただし残念ながら,論文の掲載データには余計な情報が大量に含まれており,執筆者はまだデータを相互検証する方法を見つけていない。そのため,何らかの確固たる結論を導き出すことは難しい。

 報道メディアが注目した点はだた一つ,ブラック・マーケットを分断する汎用的な手段に関する議論だけだった。記事の指摘と異なり,執筆者たちは市場を分断できるツールなど全く作っていない。

http://sparrow.ece.cmu.edu/group/pub/...(PDF形式)

報道記事:
http://arstechnica.com/news.ars/post/...
http://www.cmu.edu/news/archive/2007/October/...

関連ブログ記事:
http://www.schneier.com/blog/archives/2007/10/...
http://www.schneier.com/blog/archives/2007/10/...


Copyright (c) 2007 by Bruce Schneier.


◆オリジナル記事 「Understanding the Black Market in Internet Crime」
「CRYPTO-GRAM November 15, 2007」
「CRYPTO-GRAM November 15, 2007」日本語訳ページ
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◆この記事は,Bruce Schneier氏の許可を得て,同氏が執筆および発行するフリーのニュース・レター「CRYPTO-GRAM」の記事を抜粋して日本語化したものです。
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◆Bruce Schneier氏は米Counterpane Internet Securityの創業者およびCTO(最高技術責任者)です。Counterpane Internet Securityはセキュリティ監視の専業ベンダーであり,2006年10月に英BTの傘下に入りました。国内ではインテックと提携し,監視サービス「EINS/MSS+」を提供しています。