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記者のつぶやき

ITpro

マイクロソフトが「Windows Box」を出す日

2007/12/10
中田 敦=ITpro

 筆者はマイクロソフトの「Xbox 360」が大好きだ。ゲーム機として優れているし,何よりオンライン・サービスの「Xbox Live」が素晴らしい。同社の「ソフトウエア+サービス」の最大の成功例だと思っている。もしマイクロソフトが,Xbox 360の仕組みをWindowsに拡張して「Windows Box(Wbox)」をリリースしたらどうなるだろうか−−。筆者は最近,そんなことを考えている。

 マイクロソフトがもしWbox−−つまり,Xbox 360やXbox Liveのコンセプトを採用したWindows製品をリリースするとしたら,それはきっと「マイクロソフト自身が提供する,ホーム・ユーザー向けのシン・クライアント・ソリューション」になるだろう。

筆者が夢想するWbox

 筆者が想像するWboxの姿は,以下のようなものだ。Wbox本体は,現在あるシン・クライアント端末そのもの。低価格プロセッサとグラフィックス・チップ,256Mバイトのメイン・メモリー,8Gバイトのフラッシュ・メモリー,12型の液晶ディスプレイを搭載した重量600グラムのマシン。バッテリだけで12時間程度稼働する。Wboxからは,Windows Serverのターミナル・サービス(Windows XP/Vistaのリモート・デスクトップに相当する)が利用可能で,マイクロソフトのサーバー上で稼働するOSやアプリケーションの画面が,インターネットを経由してWboxに配信される仕組みだ。

 Wboxのユーザーは,現在のパソコンと全く同じ使い勝手で,OSやアプリケーションを実行できる。ユーザーが使うOSやアプリケーション,データ・ファイルは,すべてマイクロソフトのサーバー上で稼働し,保存されている。だからユーザーは,Wboxとインターネット接続さえあれば,普段使うアプリケーションやデータをどこででも利用できる。Wboxを持ち歩かなくても,ネット・カフェなどにある「公衆Wbox端末」を使用すれば,同じことが可能だ。

 Wboxは,オンライン・サービス「Wbox Live」と組み合わせて,月額料金制で提供される。月額2980円の「Wbox Live Standard」では,「Microsoft Works」相当の簡易版オフィス・ソフト「Wbox Works」と100Gバイトのオンライン・ディスクが利用できる。電子メールやWindows Messenger相当のインスタント・メッセンジャー兼ビデオ・チャット・サービス,写真編集ソフトやオンライン・アルバム機能,ウイルス対策ソフトを含むセキュリティ・サービスが利用できるのは言うまでもない。

 Wbox Worksは簡易版のオフィス・ソフトであるが,ターミナル・サービスで稼働するクライアント・アプリケーションなのだから,Webオフィス・ソフトとは比べものにならない使い勝手を誇る。そのほか,「Napster」のような定額制オンライン・ミュージック・サービスと組み合わせれば,数百万曲の音楽や動画をいつでも自由に視聴/閲覧できる。

 月額3980円の「Wbox Live Premium」では,製品版の「Microsoft Office」がターミナル・サービスで使用できる。Word,Excel,PowerPoint,Accessといった本物のOfficeアプリケーションが使えるのだ。オンライン・ディスクの容量は300Gバイトが妥当だろう。

 Wboxのユーザーはバックアップを実行していなくても,データが失われる心配はない。しかも,Wbox Liveのオンライン・ディスクでは,「Windows Server 2003」や「Windows Vista」が備えるシャドー・コピー機能が標準で有効になっている。ユーザーがファイルを間違って上書き保存しても,いつでも前のバージョンのファイルが入手できるのだ。

 こんな,ホーム・ユーザー向けのシン・クライアント・ソリューションは,魅力的ではないだろうか?

パワー・ユーザーにはパソコンをどうぞ

 「パソコンでハイビジョン動画を編集したい」「3Dゲームを楽しみたい」というユーザーは,今まで通りハイ・パワーなパソコンを購入すればいい。筆者自身も,プライバシーの面からオンライン・ディスクを信用しきれないので,重要なデータは,自宅のパソコンに保存し続けると思う。

 しかし,今年60歳になった自分の父親には,Wboxをぜひ使ってもらいたいと思う。筆者は毎年,親元に帰省する度に,父親のパソコンのウイルス対策ソフトを更新しているが,Wboxを渡しておけば,セキュリティの心配をしなくて済む。Windows Updateなどの適用も不要だ。

83歳の祖母にも勧めたい

 もしかしたら,筆者の83歳の祖母でも,Wboxなら使えるかもしれない。Wboxがあれば祖母は,1歳になったばかりのひ孫(筆者の姪)と,毎日でもビデオ・チャットができるはずだ。姪の父親(筆者の弟)はMacユーザーなので,WboxではWindows Messengerだけでなく,「Skype」が使えるとありがたい。ブロードバンド・インターネットさえあれば,セキュリティの心配なく誰でも使えるWboxは,デジタル・デバイドを解消してくれることだろう。

 Wboxはあくまでの筆者が夢想しているものであり,現実には存在しない。また筆者にとっては「夢」だが,既存のパソコン・メーカーにとっては,パソコンが売れなくなる悪夢になるかもしれない。それでも,Wboxに使われている技術に,目新しいものは何もない。マイクロソフトにその気(既存のパソコン・メーカーを切り捨てる覚悟)さえあれば,Wboxはすぐにでも実現できる。

 1カ月後の2008年1月7日から,米国ラスベガスで世界最大のエレクトロニクス展示会である「2008 International CES」が開幕する。それに先立つ1月6日には,米Microsoftの会長であるBill Gates氏が,氏にとっての「最後のCES基調講演」を実施する。

 これを書いている筆者も,昨年,今年に引き続き「2008 International CES」と,翌週の「Macworld San Francisco」を取材する予定だ。もし,Gates氏がCES基調講演で,Wboxのようなホーム・ユーザー向けのシン・クライアント・ソリューションを発表したら,筆者は我を忘れて,首から下げたデジタル一眼レフ・カメラと,膝に置いたノート・パソコンを放り投げて,スタンディング・オベーションでGates氏の最後の基調講演を祝福することだろう。

 「初夢」には半月ほど早いが,筆者はそんな夢を見ている。

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