ワイヤレス・ブロードバンドでは,どういった端末が登場するのだろうか。実は,メーカーは早くも動き始めている。最近の展示会で見えてきたモバイルWiMAX端末の姿を紹介しよう。

 モバイルWiMAXの旗振り役となってきた米インテルは,無線LANとモバイルWiMAXを合わせ持つ通信モジュール「Echo Peak」(開発コード名)を2008年に発売する予定だ(図7)。9月に米国で開催されたインテル主催のパソコン開発者向け会議「Intel Developer Forum(IDF)Fall 2007」では,Mini Cardサイズの評価用サンプルを公開した(関連記事)。

図7●モバイルWiMAX対応端末を推進するインテル
図7●モバイルWiMAX対応端末を推進するインテル
モバイルWiMAXに対応した各種端末のプラットフォームやモジュールを用意する。2008年から出荷を開始する。
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 Echo Peakは,2008年中頃に出荷予定のノート・パソコン向けプラットフォーム「Montevina」(開発コード名)で利用される予定だ(関連記事1)(関連記事2)。インテルは,Centrinoで無線LANの普及を大きく後押ししたのと同様の役割を,モバイルWiMAXでも狙う。東芝や松下電器産業,中国レノボ,台湾 ASUSTeKなどが,すでにMontevinaの採用に合意している。

手の平に乗る“フル”インターネット端末

 ノート・パソコンへのモバイルWiMAX搭載の動きと並行して,小型の端末に向けた取り組みも進んでいる。超小型パソコン「UMPC」と,インテルが提唱する新コンセプトの携帯インターネット端末「MID」(mobile internet devices)である(関連記事)。MIDはLinuxを搭載した機能限定の専用端末で,UMPCと同じプラットフォームを使う。ともに,FlashやAjaxといったWebの表現技術をフルにサポートしつつも,手の平に載るサイズにしている点が特徴だ。

 インテルがUMPCとMIDに向けて開発しているのは,「Menlow」(開発コード名)というプラットフォーム(関連記事)。トランプ大の基板にCPUやチップセット,通信モジュールなどを搭載したもので,消費電力も少ない。このMenlowには,通信方式の一つとしてモバイルWiMAXに対応した通信モジュールを搭載できる。同社製のEcho Peakはもちろん,インテル製以外の通信チップやモジュールも組み合わせられる。

 出荷は2008年上半期の予定だ。BenQ,クアンタ・コンピュータなどの台湾メーカーが採用を予定。富士通や韓国サムスン電子なども賛同している。

 これ以外にも,海外の展示会などでは多くのメーカーが多様な端末を出展している(関連記事:写真で見るモバイルWiMAX,今までに記者が見た端末を一挙公開)。2008年ころには多数のモバイルWiMAX対応端末が登場する。各社とも,日本市場への投入は「通信事業者が決まらないと何とも言えない」としつつも前向きな姿勢を見せている。

 通信事業者がオープン化で狙う「多様なサービスと端末」。少なくとも端末は期待できそうだ。