セブン-イレブンの1万1769店を筆頭に、国内で約5万店を数えるといわれるコンビニエンスストア。市場の成熟期を迎え、既存店の売り上げは頭打ちが続くが、各社は新規出店や新業態の試験的な展開で現状打開を進めている
セブン-イレブンの1万1769店を筆頭に、国内で約5万店を数えるといわれるコンビニエンスストア。市場の成熟期を迎え、既存店の売り上げは頭打ちが続くが、各社は新規出店や新業態の試験的な展開で現状打開を進めている
写真/毎日フォトバンク

 ローソンが客に渡すレジ袋を減らすため、マイバッグの配布を始めた。入手した国際連合大学の安井至副学長がカバンから取り出し、「コンビニもいまや社会インフラの1つ。環境配慮の責任を自覚し始めたようだ。現状をどう評価できるのか、議論してみよう」と今回のテーマに選んだ。

その1●レジ袋の削除

 まず、レジ袋削減の取り組みから議論が始まった。調査員が業界資料を当たったところ、1店舗当たりのレジ袋使用重量は既に減少傾向にあることが判明。2004年度に2000年度比で約15%の削減を果たしたという。調査員Bは「こんなに減っていたとは意外だ。あまり実感はないのだが」と首をかしげる。

 その理由について安井副学長は、「レジ袋を薄くしたからだ」と種を明かす。「袋の薄肉化はそろそろ限界。今後は使用枚数を減らさない限り重量の削減は困難」と指摘する。

 現在、業界では2010年度に削減幅を35%に引き上げるべく、客にレジ袋が必要か否かを問いかける「声かけ」などに取り組んでいる。だが調査員Aは「少量の買い物でも、有無を言わせずレジ袋に入れられる。レジが混み合い、効率よく客に対応することが求められる都心で、声かけがどこまで浸透するか」と懐疑的だ。

 安井副学長は、「使用済みレジ袋はゴミ袋として使え、再利用の価値があるのは確か。それに見合う対価として、コンビニでも数円の有料化に踏み切るべきだろう」と提言した。


踏み込んだ省エネ策が必要

 続いては、省エネに関する話題だ。

 主要各社は環境報告書の中で、冷蔵・冷凍の排熱を暖房に使う省エネシステムや調光照明器具などの導入を進めていると説明している。

その2●省エネの推進

 ただ、調査員が詳細を調べてみると、導入実績は新規店が中心で、全体には行きわたっていないのが実情。「既存店も含めた総合的な省エネは、これからが正念場だろう」と調査員Bは冷静に読み解く。

 業界全体の面積・時間当たりの電力消費は2005年度、1990年度比で20%改善したとのデータがあるが、店舗数や店舗面積の伸びはこれを上回る。安井副学長は、「いよいよ24時間営業の見直しに踏み切る時期が来たのではないか」と指摘する 。

 過去には、ローソンの新浪剛史社長が営業時間の見直しに言及し、大きな波紋を広げた。だが、その後は他社も含めて特段の進展はない。安井副学長は、「省エネへの努力は散見されるが、核心を避けている印象。24時間営業の死守を聖域にする限り、抜本的な省エネにつながらないだろう」と、業界の英断を求めた。


                 
  安井至・主席調査員   安井至・主席調査員
国連大学副学長。LCAの視点で環境問題の常識・非常識を解き明かし、広く情報発信する
  調査員A   調査員A
ナノマテリアルを中心としたリスク管理に詳しく、企業へのコンサルティングも手がける
 
                 
  調査員B   調査員B
環境化学が専門で、LCA分析にも精通。一般市民向けの環境教育や啓もう活動に携わる
  調査員C   調査員C
大企業のみならず中小企業や公共団体の環境への取り組みを幅広く支援。認証制度にもかかわる
 
                 
構成/建野友保 イラスト/斉藤よしのぶ