第1回IT Japan Award 2007のグランプリ/経済産業大臣賞に選ばれたのは、セブン-イレブン・ジャパンの「第6次総合情報システム」だ。500億円と4年6カ月という巨費と時間を注ぎ込んだ巨大システムだが、プロジェクトの遅延や運用後のトラブルがないだけでなく、電子マネー会員の増大、店舗当たり売上高を下げ止めるなどの効果が評価された。

IT Japan Award 2007

 セブン&アイ・ホールディングスが2007年4月23日から始めた、独自の電子マネー「nanaco(ナナコ)」の発行枚数は、6月13日で300万枚を突破し、7月10日時点で396万枚にまで増えた。世間が電子マネーに注目が集まる時期に、タイムリーに世に送り出せた結果だ。セブン&アイ・ホールディングスのシステム企画部CVSシステムシニアオフィサーの佐藤政行執行役員は、「順調に発行枚数が増え、年間1000万枚の目標に向けて、手応えを感じている」と話す。

 07年春に電子マネーを投入すると決めたのは、2002年秋。それまでの計画では07年秋だった。だが、首都圏の私鉄やバスを中心としたICカード「PASOMO」が07年3月にスタートすることが判明。SuicaとPASMOの陣営が一気に普及すると踏んだセブン&アイは、独自の電子マネー「nanaco」の投入を同じ07年春に選んだのだ。

写真●独自の電子マネー「nanaco」のオープニングでテープカットするセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEO(中央)。右はセブンーイレブン・ジャパンの山口俊郎社長
写真●独自の電子マネー「nanaco」のオープニングでテープカットするセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEO(中央)。右はセブンーイレブン・ジャパンの山口俊郎社長

 結果は図1を見ての通りで、年間1000万枚の目標に急ピッチで近付いている。7月時点で1日の利用件数は全国で約120万件。1日に何度か利用するヘビーユーザーの率が高いという。女性の注目度も高く、保有男女比率は55:45。通常の来店比率である62:38と比べると女性の率が7ポイントほど高い。「ポイント交換やメーカー・キャンペーンなどのメリットに引き付けられているようだ」と佐藤執行役員は説明する。

図1●躍進を続ける電子マネー「nanaco」
図1●躍進を続ける電子マネー「nanaco」
予想を上回るペースで増え、約1カ月半で300万件を登録。1日に100万件ほどの利用があるという
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 そのnanacoの躍進を支えているのが、06年に稼働した「第6次総合情報システム」である。同システムは、電子マネーだけではなく、店舗システムや本部分析システム、インフラ機能など、複数の機能を併せ持つセブン.イレブン・ジャパンのIT基盤だ。8年ぶりの大型刷新となった第6次システムでは、特に店舗の現場レベルの仕事のやり方が大きく変化している。