Windows Vistaでは、セキュリティ関連のオプションは、Windowsセキュリティセンターと呼ばれるアプリケーションに集約されています。通常は、このプログラムの存在を示す唯一のものは通知領域の盾アイコンです。この盾アイコンは、Windowsセキュリティセンターの仕事である、コンピュータの重要なセキュリティ設定を監視中であることを知らせる役割を果します。Windowsセキュリティセンターは、通知領域のアイコンをダブルクリックすると表示されます(または、コンピュータのセキュリティ設定に注意が必要なときに、そのアイコンから表示されるメッセージの1つをクリックする)。また、コントロールパネルのアイコンをクリックしたり、コマンドプロンプトに wscui.cplと入力して実行することでも、Windowsセキュリティセンターを表示することができます。図1は、Windowsセキュリティセンターのさまざまな要素を示しています。

図1:Windowsセキュリティセンターでは、1つのウィンドウにセキュリティ関連の情報と設定が集約されている

 状態セクションは、セキュリティ設定に関する一覧情報を提供しています。各項目すべてが良好であれば、「有効」という語句と緑色のバーが表示されます。その緑色のバーをクリックすると、展開されて説明情報が表示されます。注意が必要な項目は黄色や赤色のバーで表示されます。状態は、「無効」、「設定を確認してください」、「最新の状態ではありません」、「見つかりません」、「自動ではありません」、または「監視していません」などの語句で示されます。バーの下には、問題を解決する(または、困ったことにならないように Windowsセキュリティセンターを構成する)ための補足情報とボタンが表示されます。

インサイドアウト――ドメインメンバコンピュータでWindows セキュリティセンターを使用する

 コンピュータがドメインに属している場合は、Windows セキュリティセンターは既定では無効になっています。この環境では、コントロールパネルからWindows セキュリティセンターを呼び出すことはできますが、状態セクションは存在していません。通知領域にアイコンが表示されておらず、Windows セキュリティセンターはコンピュータのセキュリティ状態を監視していません。セキュリティセンターが無効になっている間の唯一の機能は、セキュリティ関連のコントロールパネルアプリケーションとオンラインのセキュリティ情報へのリンクを提供することです。ドメインの管理者は、通常はより強力なセキュリティツールを利用することができ、セキュリティ設定を一元管理したいと考えているため、Windows セキュリティセンターは既定ではドメインベースのコンピュータでは機能しません。しかし、グループポリシーを変更することで、ドメインベースのコンピュータのWindows セキュリティセンターを有効にして、まるでドメインに属していないコンピュータで実行しているかのように使用することもできます。

 Windowsセキュリティセンターは、サードパーティのファイアウォール、ウイルス対策ソフトウェア、スパイウェア対策ソフトウェアと、Windows Vistaに搭載されているソフトウェア(Windowsファイアウォールと Windows Defender)、さらに Windows LiveOneCareなどの Microsoftのみで入手可能なソフトウェアを使用できるように設計されています(コントロールパネル内にあるプログラムも Windowsセキュリティセンターによって管理されているため、必要に応じて、Windowsセキュリティセンターから少なくとも基本的な機能を制御することができます)。複数のプログラムがこれらのカテゴリのいずれかにインストールされているシステムは、図2に示すように、それらのプログラムの一覧を表示するリンクを持ちます。表示されるダイアログボックスを使用すると、現在無効になっているインストール済みのソフトウェアを使用することができます。

図2:Windowsセキュリティセンターは、Windowsに搭載されているソフトウェアに加えて、他のベンダのソフトウェアのセキュリティ設定も管理できるように設計されている

注意
 複数のファイアウォールや複数のウイルス対策ソフトウェアを実行すると、コンピュータを通過する各情報を処理するためにソフトウェアどうしが互いに競合して問題が発生します(事実、多くのファイアウォールとウイルス対策ソフトウェアは他の防御ソフトウェアが削除されるまで、インストールすることができません)。そのため、Windows セキュリティセンターでは、カテゴリ内のほかのすべてのソフトウェアが無効になるまで、ファイアウォールやウイルス対策ソフトウェアを有効にすることはできません。一方、スパイウェア対策ソフトウェアは、通常そのような競合は起きないため、複数のソフトウェアを本当に実行する必要を感じた場合には、安全に実行できます。

 Windowsセキュリティセンターは、他のセキュリティソフトウェアと共に実行できるように設計されていますが、一部のセキュリティソフトウェアは Windowsセキュリティセンターで適切に認識することができません。WMI(Windows ManagementInstrumentation)クエリを使用すると、他のソフトウェアの存在を確認し、さらに、ソフトウェア(ウイルス定義とスパイウェア定義を含む)が更新されているかどうか、リアルタイムスキャンが有効かどうかも確認します。一部のサードパーティのセキュリティソ フトウェアが期待どおりの方法で応答しないのは、Windowsセキュリティセンターがその存在を認識していないためです。