SAF(Service Availability Forum)は通信関連企業が参加するフォーラム。移植性が高いソフトを開発するためのオープンなAPI(application programming interface)群の仕様を策定し,ハードウエア・メーカーやアプリケーション開発者が,従来の課題を解決できるように活動している。

 従来,通信の世界では交換機をベースにしたシステムが利用されていた。ただしベンダー1社が開発した独自システムは開発期間が長く,コストが高く付く一方で,仕様はオープンではなかった。

 ここへきて通信がIPベースのシステムに移行していく過程で,一つのサービスが複数のネットワーク機器で構成されるようになった。システムに求められる可用性は,システム個々のレベルからサービス全体のレベルに移っている。こうしたネットワーク機器の相互接続性を保障するには,独自仕様のシステムでは限界になってきた。

 市場の競争が激しさを増す中で,機器の開発期間は従来よりも短くなり,低コストなハードや移植性の高いソフトを調達できる環境が必要となった。アプリケーション開発者が移植性の高いソフトを開発するには,オープンなインタフェースの定義が必須である。

 2001年12月に米ヒューレット・パッカード(HP)や富士通,ドイツのシーメンスなど20社が,SAF(Service Availability Forum)を結成した。現在は通信にかかわる34社が参画して,SAFインタフェース仕様を策定している(表1)。

表1●HPI,AIS,SMIの策定スケジュール
2001年12月にSAFが発足して以来,インタフェース仕様を順次公開している。
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表1●HPI,AIS,SMIの策定スケジュール

4種類のAPI群を定義

 SAFはHigh Availability(99.999%の高可用性)+Service Continuity(サービスの連続性)=Service Availability Solutionというコンセプトの下で仕様を策定している。可用性と移植性が高いアプリケーションを開発するために,HPI(hardware platform interface),AIS(application interface specification),AMF(availability management framework),SMI(system management interface)という4種類のAPI群を定義した(図1)。

図1●SAF(Service Availability Forum)の標準インタフェース
図1●SAF(Service Availability Forum)の標準インタフェース
AIS,AMF,SMI,HPIという4種類のAPI群を定義している。
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 HPIはアプリケーションなどがハードを監視/制御できるように,構成要素を定義して,透過的にアクセスできるAPIを定義する。AISはクラスタ・システムを構築するためのフレームワークやハードとシステムを管理するMIBを定義するAMFと,AMFを構築するためのAPI群(AISサービス)からなる。SMIはハードウエア・プロバイダやアプリケーション・ディベロッパーなどが,上記APIの活用で従来の課題を解消する目的で開発された。