村上 智美(むらかみ ともみ)

 株式会社DTS ネットワーク事業本部所属。Struts/Springベースのフレームワーク開発,プロジェクト支援が主な業務。EclipseプラグインによるIDE開発にも携わっている。


木村 真幸(きむら まさゆき)

 株式会社DTS ネットワーク事業本部 プロジェクトマネージャ。Javaを中心にフレームワーク開発や開発プロセス定義など幅広く活躍中。TERASOLUNAフレームワーク,StrutsIDEコミッタ。著書「まるごとEclipse! Vol.1」(発行:インプレスコミュニケーションズ)。

 PDFに代表される帳票作成を行うオープンソース製品には,様々なものがあります。今回は,Webアプリケーションとの統合といった観点も含め,帳票・レポート作成を支援するためのプラグインを紹介します。

Eclipse BIRT

 最初に紹介するのは,Eclipse本家がリリースしている「Eclipse BIRT(Business Intelligence and Reporting Tools)」です。

 Eclipse BIRTは,表やグラフなどを使ったHTML形式,PDF形式のビジネス帳票を作成するための,オープンソースのプラグインです。アプリケーションから帳票を出力するためのライブラリを,TomcatなどのWebアプリケーションサーバーと組み合わせてWeb/PDF形式のレポートを生成することもできます。

 Eclipse BIRTは,レポート作成部分(Design Engine)とレポート表示部分(Report Engine)の大きく二つの機能から構成されています。実際に,GUIを用いてレポートを作成する際,プレビューで確認しながら作業が行えます。

◆導入(インストール)

 Eclipse BIRTは,連載第5回「Europa(Eclipse 3.3)の注目機能はこれだ!」で紹介した「Europa」ディスカバリー・サイトに登録されています。

 また,Eclipse BIRTのWebページから,必要なプラグイン(GEFやEMFなど)がすべて含まれているAll-in-One(birt-report-designer-all-in-one-2_2_1.zip)をダウンロードして展開しても利用可能です。

◆Eclipse BIRTでレポート作成

(1)レポート・プロジェクトの作成

 レポート・プロジェクト(メニュー[ファイル]→[新規]→[プロジェクト]→[ビジネス・インテリジェンスおよびレポート・ツール]→[レポート・プロジェクト])を選択し,プロジェクト(repotrProject)を作成します。パースペクティブをレポート・デザインに変更しておきます(図1)。

図1●プロジェクトを作成する
図1●プロジェクトを作成する
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(2)レポート・ライブラリの作成

 データの参照先となるライブラリを作成([ファイル]→[新規]→[ライブラリ])します(図2)。

図2●データの参照先となるライブラリを作成
図2●データの参照先となるライブラリを作成
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(3)データソースとデータ・セットの設定

 次に,レポート・ライブラリにデータソースを設定します。パースペクティブの左下のアウトラインビューを表示し,データソースを右クリックして,[新規データソース]を選択します。

 JDBCデータソースを選択し(図3),次のページでJDBCデータソースの設定を行ます。データソースとしては,データベース以外にも,CVSファイル,XMLファイルなど様々なものを指定できます。

図3●新規データソースを指定
図3●新規データソースを指定
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 データソースが設定できたら,レポートで使うデータをデータセットとして設定します。アウトラインビューでデータセットを右クリックし,[新規データセット]を選択します(図4)。 先ほど作成したデータソースの名前が表示されていることを確認して,次のページに進みます。

図4●新規データセットを作成
図4●新規データセットを作成

 今回は,データベースをデータソースとして設定したので,データセットとして利用するデータはselect文で定義します(図5)。画面左側の「使用可能項目」から必要なカラムやテーブルをドラッグ&ドロップしてSQL文を記述します。

図5●SQLクエリを定義する
図5●SQLクエリを定義する
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 作成したデータセットに結合するジョイントのデータセットを作成します。データセットの右クリック→[ジョイントデータセットの作成]を選択します。結合したいデータセットを選び,結合するキーを指定して終了します(図6)。

図6●ジョイントするデータセットを作成
図6●ジョイントするデータセットを作成
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 さらに,データセットには計算列を追加することができます。データセットを選択して右クリック→[編集]を選ぶと,データセット編集画面が表示されます。左のツリーから「計算列」を選択し,[新規]ボタンを押下すると計算列追加用のダイアログが表示されます(図7)。ここで,列名,データ型,式を設定します。

図7●新規計算列追加ダイアログ
図7●新規計算列追加ダイアログ

 式の記述は[fx]ボタンを押下すると,データや演算子を組み合わせるためのダイアログ(計算式ビルダ)が表示されるので,数式を簡単に組み立てられます(図8)。

図8●式を作成するための計算式ビルダ
図8●式を作成するための計算式ビルダ
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 ここまでの作業で,ライブラリの作成は完了です。