最近の車には,快適・安全のためのさまざまな装備が実にたくさん搭載されています。例えば,運転席からすべてのドアをロックしたり解除したりできる集中ドアロック,どの窓でも好みに応じて開閉できるパワーウインドウ,運転者が見やすいようにスイッチひとつで最適な向きに調節できる電動ドアミラーなどは,多くの車で標準装備となりました。

 これらのボディ(車体)系装備の制御はどのように行われているのでしょうか。連載第1回の「車内LANって何だろう」でも触れましたが,車の中にはECU(electronic control unit)と呼ぶ電子制御装置があちこちに搭載されています。これらをつなぐことで,各装置が連動した複雑な動作を可能にしています。

 ここでは電動ドアミラーに注目して,ECUとその連係動作を見てみましょう。運転席のまわりには,電動ドアミラーやパワーウインドウを操作するさまざまなスイッチが並んでいます。これらのスイッチからの信号を基に,電動ドアミラーなどの各装置を制御するECUがあります。また,左右のドアミラーの中にはミラーを動かすためのモータがありますが,そのモータを駆動するECUもミラーの中に組み込まれています。そして,この二つのECUは1本のワイヤでつながれています。

 ドライバーが「もっと外側が見えるように左のドアミラーを動かしたい!」と考えたとします(図1)。操作スイッチを押すと,その情報は各装置を制御するECUへと伝わります(図1の(1)と(2))。さらにモータ駆動用ECUへと伝わり(図1の(3)),そのECUがモータを動かします(図1の(4))。このようにしてミラーの方向制御が行われます。

図1●車内LANを使ったドアミラー制御のしくみ
図1●車内LANを使ったドアミラー制御のしくみ
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