UMPC,スマートフォン,携帯ゲーム機--。10月末,東京・品川にあるホテルパシフィック東京の一角に,モバイルWiMAX通信機能を搭載した端末が所狭しと並んだ。モバイルWiMAXの商用化で先行する韓国政府が日本でWiMAXの展示会を開催。既にWiMAX端末がそろってきていることがうかがわれた。

 韓国政府でICT産業を担当する情報通信部は10月29日と30日,韓国のモバイルWiMAXへの取り組みを紹介するフォーラム「WiBro World Forum/WiBro Developers Forum」を開催した。その一環として,サムスン電子やLG電子といった韓国メーカーがモバイルWiMAX対応端末を展示した。韓国では,モバイルWiMAXを先取りした通信規格「WiBro」の商用サービスが2006年から提供されている。

 展示された端末は多様で,既に選択肢が広がっていることがうかがえた。端末は,超小型のパソコンであるUMPC(ultra-mobile PC),スマートフォン,携帯ゲーム機など。どれもモバイルWiMAXの通信モジュールを標準搭載している。各メーカーは2008年にも日本や米国の周波数や実装仕様に対応した端末を発売するという。

スマートフォンは携帯とのデュアル

 UMPCは,サムスン電子が2機種を展示した(写真1)。画面とキーボードを折りたためる「SPH-P9200」と,画面の両脇のスペースに小さなフルキーボードを収めた「Q1 Ultra」である。OSとして前者はWindows XPを,後者はWindows Vistaを搭載する。価格はともに1800米ドル(約21万円)前後の見込みだ。

 スマートフォンでは,サムスン電子とLG電子がWindows Mobileを標準搭載した機種を出展した。サムスン電子の「SPH-H8200」はモバイルWiMAXに加えて,CDMA2000 1xとデジタル放送に対応している。価格はおよそ800米ドル(約9万円)である。

 一方のLG電子は,モバイルWiMAXに加えて1x EV-DOとデジタル放送に対応した機種(写真2)と,GSM/W-CDMAに対応した機種の二つを展示した。ともにMIMO技術を取り入れたモバイルWiMAXの仕様「Wave2」に対応し,メーカーは2008年に発売する予定。価格は未定である。

写真1●サムスン電子のUMPC   写真2●LG電子のスマートフォン
写真1●サムスン電子のUMPC
前にあるのがキーボードと画面を折りたためる「SPH-P9200」。後ろにあるのが画面横に小さなフルキーボードを備える「Q1 Ultra」。
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  写真2●LG電子のスマートフォン
1×EV-DOとデジタル放送にも対応する。
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CE対応の携帯ゲーム機も

写真3●ポスデータの携帯ゲーム機
写真3●ポスデータの携帯ゲーム機
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 一風変わっているのが,ポスデータが展示した携帯ゲーム機(写真3)。画面サイズが4インチ,解像度がワイドVGA(800×480)のタッチ・スクリーンを備え,ボタン類の配置は一般的な携帯ゲーム機と同様になっている。動画ビューアや音楽プレーヤ,ブラウザなども搭載する。通信方式としては,モバイルWiMAX,無線LAN,Bluetoothに対応する。

 OSはWindows CEで,ゲームの開発会社のパソコンやPDAでの開発ノウハウを活用できるようにしている。現時点では,韓国のNCsoftやNHNといったネット・ゲーム大手が対応を表明している。価格は,通信事業者への卸価格で400米ドル(約4万5000円)の予定だ。