2007年に入ってにわかに注目され出した「グリーンIT」。米国調査会社のガートナーは,2008年の「戦略的技術・トレンド」として「グリーンIT」を位置付けるほどで,さまざまなITベンダーもグリーンITへの取り組みを具体化しつつある。この連載記事では,そもそもグリーンITとは何を目指しているのか,今なぜ注目され出したのかという根本を確認し,グリーンITを実現するための要素技術の概要を検証していく。

よりどころは「京都議定書」

 まずは,世界的に取り組みが進められている地球温暖化対策の現状から確認していこう。地球温暖化対策の“よりどころ”となっているのは,1997年12月11日に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議,COP3)で議決された議定書である。いわゆる「京都議定書」だ。この京都議定書の内容をかいつまむと,CO2などの温室効果ガスの排出量を,先進国各国が数値目標を掲げて削減しようというものである(図1)。

●先進国の温室効果ガス排出量について,法的拘束力のある数値目標を各国ごとに設定
●国際的に協調して,目標を達成するための仕組みを導入(排出量取引,クリーン開発メカニズム,共同実施など)
●途上国に対しては,数値目標などの新たな義務は導入せず
●数値目標
・対象ガス:二酸化炭素,メタン,一酸化二窒素,HFC,PFC,SF6
・吸収源:森林等の吸収源による温室効果ガス吸収量を算入
・基準年:1990年(HFC,PFC,SF6 は,1995年としてもよい)
・目標期間:2008年から2012年
・目標:各国ごとの目標では,日本が-6%,米国が-7%,EUが-8%などで,先進国全体で少なくとも5%削減を目指す
図1●京都議定書の概要
1997年12月11日に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議,COP3)で議決された議定書を指す。


 日本の場合,基準年である1990年に対して温室効果ガスを6%削減するのが目標となっている。そして,その目標を達成すべき時期は2008~2012年と間近に迫っている。